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会社法は民法の特別法!金商法の一般法は?

投稿日:2020年5月28日 更新日:

株式総務の業務を実行している中で、「○○のことを知りたいのに会社法に規定がないな。」と思ったり、また、昨今の「国家公務員法は検察庁法の一般法であり、特別法である検察庁法は一般法に優先する。」といった報道を見て、「会社法や金融商品取引法(以下「金商法」といいます。)の一般法は何だろうか?」と疑問に思った方もいるかもしれません。

当記事では、会社法(特別法)と民法(一般法)の関係について、また、金商法の一般法の有無について、ご説明したいと思います。




会社法は民法の特別法!金商法の一般法は?

会社法は民法の特別法!

一般法と特別法の関係

一般法とは広い対象について規定したもの、特別法とは特定の事項について一般法と異なる特別な定めをしたものです。

特別な定めが必要なため特別法が定められていることから、特別法は一般法に優先します(特別法は一般法に優先する。特別法は一般法を破る。)。

特別法と一般法で異なる定めがある事項は特別法が適用され、特別法に定めのない事項は一般法が適用されます。

※注意点
一般法と特別法の関係は相対的なものです。
とある法律(A法)が、B法の一般法であり、かつC法の特別法である場合もあります。

また、一般法と特別法の関係は、法律全体に限定されたものではありません。
とある法律のとある規定が、別の法律(別の規定。)の一般法(または特別法。)となる場合があります。

一般法:民法、特別法:会社法

民法は私人間の関係を規律する一般的な法律ですが、会社は、営利事業を営むこと、取引関係者・利害関係者が多いこと等から、一般の個人(自然人)と比較し、社会に与える影響が大きいため、特別な法律(会社法)で規律されています。

つまり、民法が一般法、会社法が特別法という関係にあります。

民法でも、会社(営利事業を営むことを目的とする法人)について、以下の通り定められています。

(法人の成立等)
第三十三条 法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。
2 学術、技芸、慈善、祭祀し、宗教その他の公益を目的とする法人、営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによる。

民法

次に、特別法(会社法)に定めのない事項に一般法(民法)が適用される事例として、剰余金の配当の消滅時効や、株主総会招集通知の発送期限などがあります。

実は、剰余金の配当の消滅時効は会社法に定めがありません。
そのため、民法の以下の規定が適用される(引用している民法は令和2年(2020年)4月1日から施行された改正を踏まえたものであり、別途、改正前の民法が適用される経過措置があります。)のですが、定款により(つまり、定款の決定権を持つ株主により。)、除斥期間(3年間など。)を設けている場合が多いです。

(債権等の消滅時効)
第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

民法

株主総会招集通知の発送期限の○週間という会社法の規定に関して、その具体的な日数の計算については民法に定められています。

(株主総会の招集の通知)
第二百九十九条 株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の二週間(前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めたときを除き、公開会社でない株式会社にあっては、一週間(当該株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前までに、株主に対してその通知を発しなければならない。

会社法

第百四十条 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

民法

更に、令和2年(2020年)4月1日から施行された民法改正の影響が会社法にも及んでいます。
例えば、民法第95条が改正され、錯誤の効果が無効から取消に変更されたことに伴い、会社法も改正されています。

(錯誤)
第九十五条 意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。

民法(改正前)

(錯誤)
第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

民法

(引受けの無効又は取消しの制限)
第五十一条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第九十三条ただし書及び第九十四条第一項の規定は、設立時発行株式の引受けに係る意思表示については、適用しない。
2 発起人は、株式会社の成立後は、錯誤を理由として設立時発行株式の引受けの無効を主張し、又は詐欺若しくは強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができない。

会社法(民法改正前)

(引受けの無効又は取消しの制限)
第五十一条 民法(明治二十九年法律第八十九号)第九十三条第一項ただし書及び第九十四条第一項の規定は、設立時発行株式の引受けに係る意思表示については、適用しない。
2 発起人は、株式会社の成立後は、錯誤、詐欺又は強迫を理由として設立時発行株式の引受けの取消しをすることができない。

会社法

金商法の一般法は?

株式総務のご担当者の方は、会社法と同じくらい触れているであろう、金商法についても、その一般法が気になるかもしれません。

ただ、金商法は、いわゆる業法(金融商品取引業者の業法)としての行政による規制や、有価証券の発行者への行政による規制としての側面が強い(業法や行政による規制には一般法はありません。)ものの、民亊や刑事の要素もある、とされており、単に、「金商法の一般法は○○法だ。」とは言えないようです。

まとめ

会社法は民法の特別法であり、会社法は一般法である民法に優先する。
金商法の一般法は、一概に「○○法だ。」とはいえない。

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職業:
とある会社で株式総務を担当しています。
株式総務に関するウェブサイトが少ないな、あると便利なのにな、と思い、拙くも開設してみました。