「三井住友信託銀行とみずほ信託銀行の書類はそっくり(東芝の議決権行使集計の誤り)」、「株主総会決議事項(議決権行使結果)に関する臨時報告書の訂正報告書の閲覧方法」でも書いた通り、株主名簿管理人の議決権行使集計ミスに起因する議決権行使集計の誤りが世間を騒がせ、株主総会決議事項(議決権行使結果)に関する臨時報告書の訂正報告書を提出する会社も続出しています。
ただ一方で、3月決算以外の会社はあまり慌てていないように見受けられます。
それはなぜでしょうか?
その理由は、株主総会の決議の取消しの訴訟の期限に関係してくるのですが、株主総会の決議の取消しの訴訟はいつまで可能なのでしょうか?
当記事では、株主総会の決議の取消しの訴訟はいつまで可能か、ご説明します。
株主総会の決議の取消しの訴えはいつまで?
3月決算以外の会社はあまり慌てていないのか?
株主名簿管理人の議決権行使集計ミスに起因する議決権行使集計の誤りが世間を騒がせていますが、3月決算以外の会社はあまり慌てていないのはなぜでしょうか?
より正確に言えば、3月決算・4月決算・5月決算以外の会社は、あまり慌てて対応をしていない可能性が高いです。
なぜなら、それらの会社は、株主総会の決議の取消しの訴訟の期限を既に経過しているからです。
株主総会の決議の取消しの訴えはいつまで?
株主総会の決議の日から3ヵ月以内です。
つまり、2月決算の会社が、5月に株主総会をしたとしたら、本件が確認された9月時点では、既に3ヵ月を経過しており、株主総会の決議の取消しの訴訟の期限を既に経過しているのです。
法令の定め
最後に、参考までに、上記の内容に関する会社法の定めを引用します。
(株主総会等の決議の取消しの訴え)
第八百三十一条 次の各号に掲げる場合には、株主等(当該各号の株主総会等が創立総会又は種類創立総会である場合にあっては、株主等、設立時株主、設立時取締役又は設立時監査役)は、株主総会等の決議の日から三箇月以内に、訴えをもって当該決議の取消しを請求することができる。当該決議の取消しにより株主(当該決議が創立総会の決議である場合にあっては、設立時株主)又は取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役。以下この項において同じ。)、監査役若しくは清算人(当該決議が株主総会又は種類株主総会の決議である場合にあっては第三百四十六条第一項(第四百七十九条第四項において準用する場合を含む。)の規定により取締役、監査役又は清算人としての権利義務を有する者を含み、当該決議が創立総会又は種類創立総会の決議である場合にあっては設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役又はそれ以外の設立時取締役)又は設立時監査役を含む。)となる者も、同様とする。
一 株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令若しくは定款に違反し、又は著しく不公正なとき。
二 株主総会等の決議の内容が定款に違反するとき。
三 株主総会等の決議について特別の利害関係を有する者が議決権を行使したことによって、著しく不当な決議がされたとき。
2 前項の訴えの提起があった場合において、株主総会等の招集の手続又は決議の方法が法令又は定款に違反するときであっても、裁判所は、その違反する事実が重大でなく、かつ、決議に影響を及ぼさないものであると認めるときは、同項の規定による請求を棄却することができる。
まとめ
株主総会の決議の取消しの訴えは、株主総会の決議の日から3ヵ月以内です。
とはいえ、道義的責任はありますよね。