取締役会議事録の電子署名としてリモート型電子署名・クラウド型電子署名を法務省が認めましたが、解釈を変更するだけでいいのかな?法改正が必要ではないのかな?と思ったので、記事にしてみました。
当サイト「株式総務」の運営者と同じような実務担当者は、解釈の変更に賛成の方が多いのではと思いますが、法律の専門家の考えが気になるところです。
クラウド型電子署名やリモート型電子署名を認めるには電子署名法の改正が必要ではないかとおもったこと
ご存じの通り、取締役会議事録の電子署名としてリモート型電子署名・クラウド型電子署名を法務省が認めました。
「取締役会議事録の電子署名としてリモート型電子署名・クラウド型電子署名を法務省が認める。」もご参照ください。
ただ、上記記事でも、書きましたが、電子署名及び認証業務に関する法律(以下「電子署名法」といいます。)第3条を文字通り読めば、電子署名として認められるのは、カード型のみだろうという気がします(着色は当サイト「株式総務」の運営者によるものです。)。
第三条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。
そして、2020年5月12日に行われた内閣府規制改革推進会議第10回成長戦略ワーキンググループに出席しカード型以外の電子署名を認めるよう主張した日本組織内弁護士協会および弁護士ドットコム株式会社の両者も、議事次第を読むと、カード型以外の電子署名を認めるためには、電子署名法第3条の改正が必要であると言っているように思われます。
行政機関である法務省が、国会で定めた法律に反する解釈をしているように思えますので、
誰か(従来型電子署名(カード型電子署名)を扱う事業者?)が訴えれば、勝てるのではないかという気がします。
以下の記事もご参照ください。
法令、法律、政令、省令、府令、府省令、命令の違いは?
法令を最終的に解釈するのは裁判所
実務担当者としては、電子署名法第1条の目的(国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与すること)に資する解釈だと思うので歓迎ですが、法律の専門家がどう考えるのか気になり、記事にしてみました。
(目的)
第一条 この法律は、電子署名に関し、電磁的記録の真正な成立の推定、特定認証業務に関する認定の制度その他必要な事項を定めることにより、電子署名の円滑な利用の確保による情報の電磁的方式による流通及び情報処理の促進を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
まとめ
クラウド型電子署名やリモート型電子署名が認められるのは、実務担当者としては歓迎ですが、法律違反の解釈ではないかな?という気がするので、法律の専門家の考えが気になるところです。
取締役会議事録の電子署名としてリモート型電子署名・クラウド型電子署名を法務省が認める。
取締役会議事録のリモート型電子署名・クラウド型電子署名の登記は認められる?
取締役会議事録の電子署名は、5/22にリモート型電子署名が、5/29にクラウド型電子署名が法務省より認められた?
電子署名された取締役会議事録の電子データとしての保存は可能?
上記記事もご参照ください。