以下の記事を読んで、また、日々の株式総務の業務の中などで、法令、法律、政令、省令、府令、府省令、命令について、その違いが気になったからもおられると思います。
会社法関連法令まとめ
金融商品取引法(金商法)関連法令まとめ
当記事では、法令、法律、政令、省令、府令、府省令、命令の違いについて、ご説明します。
目次
法令、法律、政令、省令、府令、府省令、命令の違いは?
憲法もあわせて考えるとわかりやすい。
法令、法律、政令、省令、府令、府省令、命令の違いは、憲法もあわせて考えるとわかりやすいかもしれません。
国民が定めるのが憲法、
立法府(国会)が定めるのが法律、
行政府(内閣、等。)が定めるのが命令(政令、府省令(府令・省令)、等。)です。
国民が定めた憲法に違反する法律を国会は定めることはできません。
国会が定めた法律に違反する命令を内閣は定めることができません。
つまり、憲法>法律>命令(政令>府省令(府令・省令))という優劣関係になっています。
憲法については「定款は会社の憲法!」もご参照ください。
法令とは?
法令とは、法律(立法府(国会)が制定する法規範)と命令(行政府(内閣)が制定する法規範)を総称したものです。
法律とは?
法律とは、日本国憲法の定めにより、立法府(国会)が制定する法規範です。
第四章 国会
第四十一条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
第五十九条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。
命令(政令、府省令(府令・省令)、等。)とは?
命令とは、法規命令ともいい、行政府(内閣、等。)が制定する法規範で、政令、府省令(府令・省令)、等を総称したものです。
政令とは?
政令とは、日本国憲法の定めにより、行政府(内閣)が制定する法規範です。
第五章 内閣
第六十五条 行政権は、内閣に属する。
第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
(略)
四 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
府令とは?
府令とは、内閣府令のことをいい、内閣府設置法の定めにより、行政府(内閣府)が制定する法規範です。
(内閣総理大臣の権限)
第七条
(略)
3 内閣総理大臣は、内閣府に係る主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、内閣府の命令として内閣府令を発することができる。
省令とは?
省令とは、国家行政組織法の定めにより、行政府(各省)が制定する法規範です。
(行政機関の長の権限)
第十二条 各省大臣は、主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、それぞれその機関の命令として省令を発することができる。
会社法関係法令、金融商品取引法(金商法)関連法令に置き換えてみる。
以上の内容を、より分かりやすくするために、株式総務に最もかかわりの深い法令の代表である、会社法関係法令及び金融商品取引法(金商法)関連法令に置き換えて、ご説明します。
国民が憲法を定め、
(憲法に違反しない範囲で)国会が会社法を定め、
(憲法、会社法に違反ない範囲で)内閣が会社法施行令(政令)を定め、
(憲法、会社法、会社法施行令に違反しない範囲で)法務省が会社法施行規則(省令)を定めています。
国民が憲法を定め、
(憲法に違反しない範囲で)国会が金融商品取引法を定め、
(憲法、金融商品取引法に違反ない範囲で)内閣が金融商品取引法施行令(政令)を定め、
(憲法、金融商品取引法、金融商品取引法施行令に違反しない範囲で)内閣府(実質的には、内閣府の外局である金融庁。)が企業内容等の開示に関する内閣府令(府令)を定めています。
まとめ
法令、法律、政令、省令、府令、府省令、命令について、その違いをご説明しました。
ご理解いただけましたでしょうか?
「会社法関連法令まとめ」、「金融商品取引法(金商法)関連法令まとめ」もご参照ください。