有価証券報告書等の開示書類を作成・閲覧している際、その他の関係会社という用語に困惑したことはありませんか?
当記事では、その他の関係会社とは何かについて、関連会社、関係会社との違いも踏まえ、ご説明します。
関連する用語を広く説明した「子会社、関連会社、関係会社、親会社、孫会社、兄弟会社、グループ会社の違いは?」もご参照ください。
目次
その他の関係会社とは?関連会社、関係会社との違いは?
その他の関係会社とは?
その他の関係会社について、法令では以下の通り、定められています。
これだけでは、わかりづらいですよね。
そもそも、関係会社の定義の説明の中に、その他の関係会社の定義が組み込まれていますし、その他の関係会社の定義自体も非常に読み取りづらいです。
(定義)
第八条
(略)
8 この規則において「関係会社」とは、財務諸表提出会社の親会社、子会社及び関連会社並びに財務諸表提出会社が他の会社等の関連会社である場合における当該他の会社等(第十七項第四号において「その他の関係会社」という。)をいう。
関連会社、関係会社と比較してみる。
その他の関係会社という用語だけで理解しようとすると非常にわかりづらいので、別の用語(関連会社、関係会社。)と比較してみると、わかりやすいと思います。
関連会社との違いは?(その他の関係会社は関連会社の対義語)
子会社の対義語が親会社であると、ご認識の方が多いと思います。
一方で、関連会社の対義語がその他の関係会社なのです。
つまり、A社の子会社がB社であれば、B社にとってA社は親会社ですが、
C社の関連会社がD社であれば、D社にとってC社はその他の関係会社なのです。
関連会社の定義を、わかりやすくいえば、以下の通りです。
ある会社が議決権(株式)の20%以上を有する(ただし、子会社を除く。)等、ある会社が財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる会社。
対義語であるその他の関係会社の定義を、わかりやすくいえば、以下の通りです。
ある会社の議決権(株式)の20%以上を有する(ただし、親会社を除く。)等、ある会社の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる会社。
「子会社、関連会社、関係会社、親会社、孫会社、兄弟会社、グループ会社の違いは?」もご参照ください。
その他の関係会社とは?で引用した法令の「財務諸表提出会社が他の会社等の関連会社である場合における当該他の会社等」の部分は、その他の関係会社のことを指していることが
ご理解いただけたのではないかと思います。
なお、子会社にあたるか否かの判定における基準を支配力基準、関連会社にあたるか否かの反転における基準を影響力基準といいます。
法令上の関連会社の定義は以下の通りです。
(定義)
第八条
(略)
5 この規則において「関連会社」とは、会社等及び当該会社等の子会社が、出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該子会社以外の他の会社等をいう。
6 前項に規定する子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合とは、次の各号に掲げる場合をいう。ただし、財務上又は営業上若しくは事業上の関係からみて子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができないことが明らかであると認められるときは、この限りでない。
一 子会社以外の他の会社等(民事再生法の規定による再生手続開始の決定を受けた会社等、会社更生法の規定による更生手続開始の決定を受けた株式会社、破産法の規定による破産手続開始の決定を受けた会社等その他これらに準ずる会社等であつて、かつ、当該会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができないと認められる会社等を除く。以下この項において同じ。)の議決権の百分の二十以上を自己の計算において所有している場合
二 子会社以外の他の会社等の議決権の百分の十五以上、百分の二十未満を自己の計算において所有している場合であつて、かつ、次に掲げるいずれかの要件に該当する場合
イ 役員若しくは使用人である者、又はこれらであつた者で自己が子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、当該子会社以外の他の会社等の代表取締役、取締役又はこれらに準ずる役職に就任していること。
ロ 子会社以外の他の会社等に対して重要な融資を行つていること。
ハ 子会社以外の他の会社等に対して重要な技術を提供していること。
ニ 子会社以外の他の会社等との間に重要な販売、仕入れその他の営業上又は事業上の取引があること。
ホ その他子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができることが推測される事実が存在すること。
三 自己の計算において所有している議決権と自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者及び自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権とを合わせた場合(自己の計算において議決権を所有していない場合を含む。)に子会社以外の他の会社等の議決権の百分の二十以上を占めているときであつて、かつ、前号イからホまでに掲げるいずれかの要件に該当する場合
四 複数の独立した企業(会社及び会社に準ずる事業体をいう。以下同じ。)により、契約等に基づいて共同で支配される企業(以下「共同支配企業」という。)に該当する場合
関係会社との違いは?(その他の関係会社は関係会社の一部)
ある会社の親会社、子会社、関連会社、その他の関係会社をあわせて、関係会社といいます。
つまり、その他の関係会社は関係会社の一部です。
そして、親会社、子会社、関連会社のいずれにもあてはまらない関係会社なので、その他の関係会社というのです。
(独立したもっとわかりやすい名称を付けてほしいですよね。)
その他の関係会社とは?で引用した法令をわかりやすく言い換えると、「「関係会社」とは、ある会社の親会社、子会社、関連会社及びその他の関係会社をいう。」ということになります。
まとめ
その他の関係会社とは、関連会社の対義語であり、関係会社の一部です。