「あなたの会社は決算公告をしていないようですが、問題ないですか?」と問われて、一瞬どきっとしたり、
「いや、うちの会社は株主総会招集通知の全文を、証券取引所や自社ウェブサイト(ホームページ)で開示しているし。」と、つい答えてしまう、
上場会社の株式総務のご担当者の方もいるのではないでしょうか?
当サイト「株式総務」の運営担当者も、以前はそうでした。
当記事では、決算報告とは何か、上場会社における決算公告の必要性について、ご説明したいと思います。
上場会社の決算公告は必要?不要?決算公告とは?
公告とは?
まず、公告とは、法令上の義務により特定の事項を広く一般に知らせることをいいます。
決算公告とは?
株主総会終了後に、終了した事業年度の決算(原則として、貸借対照表(BS)のみ。例外として、大会社は貸借対照表(BS)及び損益計算書(PL)。)を公告する義務を、会社はは負っています。
「株主宛に株主総会招集通知を送付しているし不要では?」とお思いになる方もいるかもしれません。
ただ、株主総会招集通知は、債権者には送付されません。
株主保護だけではなく、債権者保護も考慮し、会社法により決算公告が義務付けられています。
(貸借対照表(BS)を必ず公告しなければいけないのは、債権回収の原資となる会社財産を把握できるようにするためだと思われます。)
上場会社の決算公告の必要性
ここまで読んで、「うちの会社は決算公告をしていないかも。でも、うちの会社は株主総会招集通知の全文を、証券取引所や自社ウェブサイト(ホームページ)で開示しているから大丈夫なのでは。」とお思いになった、上場会社勤務の方もおられるかもしれません。
会社法上、上場会社を含む有価証券報告書提出会社は、決算公告の義務を免除されています。
「株主総会招集通知を開示している(公衆の縦覧に供している。)。」からではなく、「有価証券報告書を提出している」から、決算公告の義務が免除されているのです。
上場会社に勤務するあなたの会社のウェブサイト(ホームページ)の電子公告ページに、「当社は、会社法第440条第4項の規定により決算公告は行っておりませんが、当社の有価証券報告書については、金融庁の電子開示システムEDINETでご覧いただけます。」といった文言が記載さているのは、上記のような理由に基づいています。
会社法上の定め
これまでご説明した内容が、会社法上、以下のとおり定められています。
(計算書類の公告)
第四百四十条 株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければならない。
(略)
4 金融商品取引法第二十四条第一項の規定により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない株式会社については、前三項の規定は、適用しない。
まとめ
決算公告とは、会社が終了した事業年度の決算を広く一般に知らせるための、会社法上の義務です。
上場会社を含む有価証券報告書提出会社の決算公告の義務は免除されています。