当記事では、株主総会招集通知(以下「招集通知」と言います。)の作成実務担当者である当サイト「株式総務」の運営者が、招集通知の構成をご説明したいと思います。
招集通知の閲覧または作成の際に、参考になれば幸いです。
目次
株主総会招集通知の構成
招集通知の二つの定義
招集通知という場合、狭義の招集通知と広義の招集通知(狭義の招集通知及び株主総会の招集の通知に際して交付又は提供しなければならないとされているもの)の二つの定義があります。
狭義の招集通知
株主総会の日時、場所、目的事項などが記載されている部分です。
(株主総会の招集の通知)
第二百九十九条 株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の二週間(前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めたときを除き、公開会社でない株式会社にあっては、一週間(当該株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前までに、株主に対してその通知を発しなければならない。
2 次に掲げる場合には、前項の通知は、書面でしなければならない。
一 前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めた場合
二 株式会社が取締役会設置会社である場合
3 取締役は、前項の書面による通知の発出に代えて、政令で定めるところにより、株主の承諾を得て、電磁的方法により通知を発することができる。この場合において、当該取締役は、同項の書面による通知を発したものとみなす。
4 前二項の通知には、前条第一項各号に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。(株主総会の招集の決定)
第二百九十八条 取締役(前条第四項の規定により株主が株主総会を招集する場合にあっては、当該株主。次項本文及び次条から第三百二条までにおいて同じ。)は、株主総会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 株主総会の日時及び場所
二 株主総会の目的である事項があるときは、当該事項
三 株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
四 株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
五 前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
(招集の決定事項)
第六十三条 法第二百九十八条第一項第五号に規定する法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
一 法第二百九十八条第一項第一号に規定する株主総会が定時株主総会である場合において、同号の日が次に掲げる要件のいずれかに該当するときは、その日時を決定した理由(ロに該当する場合にあっては、その日時を決定したことにつき特に理由がある場合における当該理由に限る。)
イ 当該日が前事業年度に係る定時株主総会の日に応当する日と著しく離れた日であること。
ロ 株式会社が公開会社である場合において、当該日と同一の日において定時株主総会を開催する他の株式会社(公開会社に限る。)が著しく多いこと。
二 法第二百九十八条第一項第一号に規定する株主総会の場所が過去に開催した株主総会のいずれの場所とも著しく離れた場所であるとき(次に掲げる場合を除く。)は、その場所を決定した理由
イ 当該場所が定款で定められたものである場合
ロ 当該場所で開催することについて株主総会に出席しない株主全員の同意がある場合
三 法第二百九十八条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めたときは、次に掲げる事項(定款にロからニまで及びヘに掲げる事項についての定めがある場合又はこれらの事項の決定を取締役に委任する旨を決定した場合における当該事項を除く。)
イ 次款の規定により株主総会参考書類に記載すべき事項(第八十五条の二第三号、第八十五条の三第三号、第八十六条第三号及び第四号、第八十七条第三号及び第四号、第八十八条第三号及び第四号、第八十九条第三号、第九十条第三号、第九十一条第三号並びに第九十二条第三号に掲げる事項を除く。)
ロ 特定の時(株主総会の日時以前の時であって、法第二百九十九条第一項の規定により通知を発した日から二週間を経過した日以後の時に限る。)をもって書面による議決権の行使の期限とする旨を定めるときは、その特定の時
ハ 特定の時(株主総会の日時以前の時であって、法第二百九十九条第一項の規定により通知を発した日から二週間を経過した日以後の時に限る。)をもって電磁的方法による議決権の行使の期限とする旨を定めるときは、その特定の時
ニ 第六十六条第一項第二号の取扱いを定めるときは、その取扱いの内容
ホ 第九十四条第一項の措置をとることにより株主に対して提供する株主総会参考書類に記載しないものとする事項
ヘ 一の株主が同一の議案につき次に掲げる場合の区分に応じ、次に定める規定により重複して議決権を行使した場合において、当該同一の議案に対する議決権の行使の内容が異なるものであるときにおける当該株主の議決権の行使の取扱いに関する事項を定めるとき(次号に規定する場合を除く。)は、その事項
(1) 法第二百九十八条第一項第三号に掲げる事項を定めた場合 法第三百十一条第一項
(2) 法第二百九十八条第一項第四号に掲げる事項を定めた場合 法第三百十二条第一項
四 法第二百九十八条第一項第三号及び第四号に掲げる事項を定めたときは、次に掲げる事項(定款にイ又はロに掲げる事項についての定めがある場合における当該事項を除く。)
イ 法第二百九十九条第三項の承諾をした株主の請求があった時に当該株主に対して法第三百一条第一項の規定による議決権行使書面(法第三百一条第一項に規定する議決権行使書面をいう。以下この節において同じ。)の交付(当該交付に代えて行う同条第二項の規定による電磁的方法による提供を含む。)をすることとするときは、その旨
ロ 一の株主が同一の議案につき法第三百十一条第一項又は第三百十二条第一項の規定により重複して議決権を行使した場合において、当該同一の議案に対する議決権の行使の内容が異なるものであるときにおける当該株主の議決権の行使の取扱いに関する事項を定めるときは、その事項
五 法第三百十条第一項の規定による代理人による議決権の行使について、代理権(代理人の資格を含む。)を証明する方法、代理人の数その他代理人による議決権の行使に関する事項を定めるとき(定款に当該事項についての定めがある場合を除く。)は、その事項
六 法第三百十三条第二項の規定による通知の方法を定めるとき(定款に当該通知の方法についての定めがある場合を除く。)は、その方法
七 第三号に規定する場合以外の場合において、次に掲げる事項が株主総会の目的である事項であるときは、当該事項に係る議案の概要(議案が確定していない場合にあっては、その旨)
イ 役員等の選任
ロ 役員等の報酬等
ハ 全部取得条項付種類株式の取得
ニ 株式の併合
ホ 法第百九十九条第三項又は第二百条第二項に規定する場合における募集株式を引き受ける者の募集
ヘ 法第二百三十八条第三項各号又は第二百三十九条第二項各号に掲げる場合における募集新株予約権を引き受ける者の募集
ト 事業譲渡等
チ 定款の変更
リ 合併
ヌ 吸収分割
ル 吸収分割による他の会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部の承継
ヲ 新設分割
ワ 株式交換
カ 株式交換による他の株式会社の発行済株式全部の取得
ヨ 株式移転
株主総会参考書類
取締役の選任に関する議案などが記載されている部分です。
(株主総会参考書類及び議決権行使書面の交付等)
第三百一条 取締役は、第二百九十八条第一項第三号に掲げる事項を定めた場合には、第二百九十九条第一項の通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、議決権の行使について参考となるべき事項を記載した書類(以下この款において「株主総会参考書類」という。)及び株主が議決権を行使するための書面(以下この款において「議決権行使書面」という。)を交付しなければならない。
(株主総会参考書類)
第六十五条 法第三百一条第一項又は第三百二条第一項の規定により交付すべき株主総会参考書類に記載すべき事項は、次款の定めるところによる。第二編 株式会社
第四章 機関
第一節 株主総会及び種類株主総会
第二款 株主総会参考書類
事業報告
株式会社の現況に関する事項などが記載されている部分です。
(計算書類等の株主への提供)
第四百三十七条 取締役会設置会社においては、取締役は、定時株主総会の招集の通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、前条第三項の承認を受けた計算書類及び事業報告(同条第一項又は第二項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む。)を提供しなければならない。
第百三十三条 法第四百三十七条の規定により株主に対して行う提供事業報告(次の各号に掲げる株式会社の区分に応じ、当該各号に定めるものをいう。以下この条において同じ。)の提供に関しては、この条に定めるところによる。
一 株式会社(監査役設置会社、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除く。) 事業報告
二 監査役設置会社、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社 次に掲げるもの
イ 事業報告
ロ 事業報告に係る監査役(監査役会設置会社にあっては監査役会、監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)の監査報告があるときは、当該監査報告(二以上の監査役が存する株式会社(監査役会設置会社を除く。)の各監査役の監査報告の内容(監査報告を作成した日を除く。)が同一である場合にあっては、一又は二以上の監査役の監査報告)
ハ 前条第三項の規定により監査を受けたものとみなされたときは、その旨を記載又は記録をした書面又は電磁的記録
計算書類
貸借対照表、損益計算書などが記載されている部分です。
(計算書類等の株主への提供)
第四百三十七条 取締役会設置会社においては、取締役は、定時株主総会の招集の通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、前条第三項の承認を受けた計算書類及び事業報告(同条第一項又は第二項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む。)を提供しなければならない。
(計算書類等の提供)
第百三十三条 法第四百三十七条の規定により株主に対して行う提供計算書類(次の各号に掲げる株式会社の区分に応じ、当該各号に定めるものをいう。以下この条において同じ。)の提供に関しては、この条に定めるところによる。
一 株式会社(監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。次号において同じ。)及び会計監査人設置会社を除く。) 計算書類
二 会計監査人設置会社以外の監査役設置会社 次に掲げるもの
イ 計算書類
ロ 計算書類に係る監査役(監査役会設置会社にあっては、監査役会)の監査報告があるときは、当該監査報告(二以上の監査役が存する株式会社(監査役会設置会社を除く。)の各監査役の監査報告の内容(監査報告を作成した日を除く。)が同一である場合にあっては、一又は二以上の監査役の監査報告)
ハ 第百二十四条第三項の規定により監査を受けたものとみなされたときは、その旨の記載又は記録をした書面又は電磁的記録
三 会計監査人設置会社 次に掲げるもの
イ 計算書類
ロ 計算書類に係る会計監査報告があるときは、当該会計監査報告
ハ 会計監査人が存しないとき(法第三百四十六条第四項の一時会計監査人の職務を行うべき者が存する場合を除く。)は、会計監査人が存しない旨の記載又は記録をした書面又は電磁的記録
ニ 第百三十条第三項の規定により監査を受けたものとみなされたときは、その旨の記載又は記録をした書面又は電磁的記録
ホ 計算書類に係る監査役(監査役会設置会社にあっては監査役会、監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)の監査報告があるときは、当該監査報告(二以上の監査役が存する株式会社(監査役会設置会社を除く。)の各監査役の監査報告の内容(監査報告を作成した日を除く。)が同一である場合にあっては、一又は二以上の監査役の監査報告)
ヘ 前条第三項の規定により監査を受けたものとみなされたときは、その旨の記載又は記録をした書面又は電磁的記録
連結計算書類
連結貸借対照表、連結損益計算書などが記載されている部分です。
第四百四十四条
(略)
6 会計監査人設置会社が取締役会設置会社である場合には、取締役は、定時株主総会の招集の通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、前項の承認を受けた連結計算書類を提供しなければならない。
計算書類に係る会計監査報告
計算書類に係る会計監査人の会計監査報告が記載されている部分です。
(計算書類等の株主への提供)
第四百三十七条 取締役会設置会社においては、取締役は、定時株主総会の招集の通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、前条第三項の承認を受けた計算書類及び事業報告(同条第一項又は第二項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む。)を提供しなければならない。
(計算書類等の提供)
第百三十三条 法第四百三十七条の規定により株主に対して行う提供計算書類(次の各号に掲げる株式会社の区分に応じ、当該各号に定めるものをいう。以下この条において同じ。)の提供に関しては、この条に定めるところによる。(略)
三 会計監査人設置会社 次に掲げるもの
ロ 計算書類に係る会計監査報告があるときは、当該会計監査報告
連結計算書類に係る会計監査報告
連結計算書類に係る会計監査人の会計監査報告が記載されている部分です。
ただし、株主への提供は義務ではありません。
第四百四十四条
(略)
6 会計監査人設置会社が取締役会設置会社である場合には、取締役は、定時株主総会の招集の通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、前項の承認を受けた連結計算書類を提供しなければならない。
(連結計算書類の提供)
第百三十四条 法第四百四十四条第六項の規定により株主に対して連結計算書類の提供をする場合において、定時株主総会の招集通知を次の各号に掲げる方法により行うときは、連結計算書類は、当該各号に定める方法により提供しなければならない。
一 書面の提供 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める方法
イ 連結計算書類が書面をもって作成されている場合 当該書面に記載された事項を記載した書面の提供
ロ 連結計算書類が電磁的記録をもって作成されている場合 当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面の提供
二 電磁的方法による提供 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める方法
イ 連結計算書類が書面をもって作成されている場合 当該書面に記載された事項の電磁的方法による提供
ロ 連結計算書類が電磁的記録をもって作成されている場合 当該電磁的記録に記録された事項の電磁的方法による提供
2 前項の連結計算書類に係る会計監査報告又は監査報告がある場合において、当該会計監査報告又は監査報告の内容をも株主に対して提供することを定めたときにおける同項の規定の適用については、同項第一号イ及びロ並びに第二号イ及びロ中「連結計算書類」とあるのは、「連結計算書類(当該連結計算書類に係る会計監査報告又は監査報告を含む。)」とする。
監査役会等の監査報告
監査役会等の監査報告が記載されている部分です。
(計算書類等の株主への提供)
第四百三十七条 取締役会設置会社においては、取締役は、定時株主総会の招集の通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、前条第三項の承認を受けた計算書類及び事業報告(同条第一項又は第二項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む。)を提供しなければならない。
(計算書類等の提供)
第百三十三条 法第四百三十七条の規定により株主に対して行う提供計算書類(次の各号に掲げる株式会社の区分に応じ、当該各号に定めるものをいう。以下この条において同じ。)の提供に関しては、この条に定めるところによる。(略)
三 会計監査人設置会社 次に掲げるもの
ホ 計算書類に係る監査役(監査役会設置会社にあっては監査役会、監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)の監査報告があるときは、当該監査報告(二以上の監査役が存する株式会社(監査役会設置会社を除く。)の各監査役の監査報告の内容(監査報告を作成した日を除く。)が同一である場合にあっては、一又は二以上の監査役の監査報告)
第四百四十四条
(略)
6 会計監査人設置会社が取締役会設置会社である場合には、取締役は、定時株主総会の招集の通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、前項の承認を受けた連結計算書類を提供しなければならない。
(連結計算書類の提供)
第百三十四条 法第四百四十四条第六項の規定により株主に対して連結計算書類の提供をする場合において、定時株主総会の招集通知を次の各号に掲げる方法により行うときは、連結計算書類は、当該各号に定める方法により提供しなければならない。
一 書面の提供 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める方法
イ 連結計算書類が書面をもって作成されている場合 当該書面に記載された事項を記載した書面の提供
ロ 連結計算書類が電磁的記録をもって作成されている場合 当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面の提供
二 電磁的方法による提供 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める方法
イ 連結計算書類が書面をもって作成されている場合 当該書面に記載された事項の電磁的方法による提供
ロ 連結計算書類が電磁的記録をもって作成されている場合 当該電磁的記録に記録された事項の電磁的方法による提供
2 前項の連結計算書類に係る会計監査報告又は監査報告がある場合において、当該会計監査報告又は監査報告の内容をも株主に対して提供することを定めたときにおける同項の規定の適用については、同項第一号イ及びロ並びに第二号イ及びロ中「連結計算書類」とあるのは、「連結計算書類(当該連結計算書類に係る会計監査報告又は監査報告を含む。)」とする。
広義の招集通知
上記の事項をあわせたものが、一般的に、広義の招集通知と呼ばれています。
備考
インターネット開示(ウェブ開示、Web開示)によるみなし提供
招集通知の一部をインターネット開示によりみなし提供することが、法令上、認められていますが、当然、インターネットで開示した部分も招集通知に含まれます。
附属明細書
「事業報告に係る附属明細書」及び「計算書類に係る附属明細書」は、株主総会の招集の通知に際して、株主に対し、提供しなければならない、とはされていません。
そのため、招集通知に含まれません。
「会社法上の附属明細書(事業報告、計算書類)の開示の必要性、株主総会への提出義務の有無」もご参照ください。
まとめ
招集通知の構成を把握いただくことで、招集通知の閲覧または作成の際に、お役に立てていれば幸いです。