監査法人(会計監査人)へ提出する「経営者確認書」をご存じでしょうか?
また、経営者確認書とはどういったものか、ご存じでしょうか?
当記事では、経営者確認書とはどういったものか、ご説明します。
経営者確認書とは?
経営者確認書とは?
経営者確認書とは、会社の決算書(財務諸表)が、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準等に基づき適正であることを、代表者及び最高財務責任者等の経営者が確認した旨を記載し、監査法人へ提出することを、監査法人から求められる書類です。
監査法人は、日本公認会計士協会の発表する監査基準委員会報告書に基づき、経営者確認書の提出を会社へ求めています。
当サイト「株式総務」は、株式に関する総務の業務(以下「株式総務」といいます。)を解説するウェブサイトですが、経営者と監査法人の間の経営者確認書の仲介は経理部門が行うことが多いため、株式総務ご担当の方で、経営者確認書の存在をご存じでない方もいるかもしれませんね。
経営者確認書の目的
二重責任の原則
監査に関して、「二重責任の原則」という言葉があります。
財務諸表の作成に関する責任は経営者にあり、財務諸表を監査する責任(意見を表明する責任)は監査法人・公認会計士にあるという原則です。
経営者確認書の目的
経営者確認書は、二重責任の原則に基づく、財務諸表の作成に関する責任を経営者に改めて認識させることなどを目的として、監査法人が提出を求めています。
経営者確認書が提出されなかったら
経営者確認書が提出されない場合、監査法人は監査報告書で意見を表明しないこと(以下「意見不表明」といいます。)となります(そのように監査基準委員会報告書で求められています。)。
意見不表明となった場合、上場廃止となる場合があります。
(上場内国会社の上場廃止基準)
第601条
本則市場の上場内国株券等が次の各号のいずれかに該当する場合には、その上場を廃止するものとする。この場合における当該各号の取扱いは施行規則で定める。
(略)
(11) 虚偽記載又は不適正意見等
第501条第1項第2号に該当する場合であって、直ちに上場を廃止しなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかであると当取引所が認めるとき
(略)(特設注意市場銘柄の指定及び指定解除)
第501条
当取引所は、次の各号に掲げる場合であって、かつ、当該上場会社の内部管理体制等について改善の必要性が高いと認めるときは、当該上場会社が発行者である上場株券等を特設注意市場銘柄に指定することができる。
(略)
(2) 次のa又はbに該当する場合
(略)
b 上場会社の財務諸表等に添付される監査報告書又は四半期財務諸表等に添付される四半期レビュー報告書において、公認会計士等によって、監査報告書については「不適正意見」又は「意見の表明をしない」旨が、四半期レビュー報告書については「否定的結論」又は「結論の表明をしない」旨(特定事業会社の場合にあっては、「中間財務諸表等が有用な情報を表示していない意見」又は「意見の表明をしない」旨を含む。)が記載された場合。ただし、「意見の表明をしない」旨又は「結論の表明をしない」旨が記載された場合であって、当該記載が天災地変等、上場会社の責めに帰すべからざる事由によるものであるときを除く。
(略)
まとめ
経営者確認書とは、会社の決算書(財務諸表)が、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準等に基づき適正であることを、代表者及び最高財務責任者等の経営者が確認した旨を記載し、監査法人へ提出することを、監査法人から求められる書類です。