決算書は何種類あるか、ご存じでしょうか?
準拠する法令により違いがあることをご存じの方もおられると思います。
当記事では、決算書が何種類あるかについて、法令を踏まえながら、ご説明したいと思います。
決算書は何種類ある?いくつある?
会計上は一つの決算しかない。
いきなり、前提をひっくり返すように思えるかもしれませんが、「決算」は一つしかありません。
なぜなら、決算は一定の会計基準に則って算出されるからです。
「決算」は一つしかないのに、「決算」を表現する「決算書」の種類がいくつもあるのは、法令によって、書類の名称、構成する書類(必要な注記)、金額の単位等が異なるためです。
それでは、以下に、決算書の法令による差異を確認したいと思います。
決算書の法令による差異。
会社法
名称:計算書類
構成:貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、株主資本等変動計算書、個別注記表、(附属明細書)
単位:一円単位、千円単位又は百万円単位
該当法令の他の書類との関連:株主総会招集通知の添付書類です。
目的:株主保護、債権者保護
金額の単位については、「決算書の単位は百万円?千円?」もご参照ください。
金融商品取引法(金商法)
名称:財務諸表
構成:貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書、(附属明細表)
単位:百万円単位又は千円単位
該当法令の他の書類との関連:有価証券報告書を構成する書類の一つです。
目的:一般投資家保護
金額の単位については、「決算書の単位は百万円?千円?」もご参照ください。
取引所規則に基づき作成される決算短信に添付される財務諸表も、金融商品取引法に基づくものです。
法人税法
名称:決算報告書
構成:貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、株主資本等変動計算書、勘定科目内訳明細書
単位:一円単位
該当法令の他の書類との関連:確定申告書(法人税)の添付書類です。
目的:法人税徴収
名称は慣例上のものであり、法定のものではありません(法人税法及び関連法令上は、単に、貸借対照表、損益計算書等と書類の個別の名称で規定されており、書類の総称は規定されておりません。)。
まとめ
決算は一つですが、決算書は3種類あります。
それぞれの決算書の違いを生んでいるのは、よりどころとなる法令の違いです。