「決算書の端数処理は切捨て?切上げ?四捨五入?」の記事では、決算書の端数処理が切捨てか、切上げか、四捨五入か、確認しましたが、そもそも、決算書に記載する金額の単位に決まりはあるのでしょうか?
株式総務担当として、株主総会招集通知の事業報告(会社法)や、有価証券報告書の非財務情報(金融商品取引法)を作成するとき、また、経理の作成した決算書(計算書類、財務諸表)を確認するとき、記載金額の単位について、決まりがあるのか、気になったことはありませんか?
当記事では、決算書の記載金額の単位について、確認したいと思います。
目次
決算書の単位は?
決算書の単位は百万円の場合が多い!
結論としては、百万円の場合が多いです。
以下に、法令・取引所規則ごとに、その理由を説明します。
会社法
会社法及び関連法令では、会社計算規則において、以下の通り定められています。
第五十七条 計算関係書類に係る事項の金額は、一円単位、千円単位又は百万円単位をもって表示するものとする。
金融商品取引法
金融商品取引法(以下「金商法」といいます。)及び関連法令では、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則をはじめとして、以下の通り定められています。
(金額の表示の単位)
第十条の三 財務諸表に掲記される科目その他の事項の金額は、百万円単位又は千円単位をもつて表示するものとする。
(金額の表示の単位)
第十六条の二 連結財務諸表に掲記される科目その他の事項の金額は、百万円単位又は千円単位をもつて表示するものとする。
(金額の表示の単位)
第二十九条 四半期連結財務諸表に掲記される科目その他の事項の金額は、百万円単位又は千円単位をもって表示するものとする。
(金額の表示の単位)
第二十九条 四半期連結財務諸表に掲記される科目その他の事項の金額は、百万円単位又は千円単位をもって表示するものとする。
取引所規則
取引所規則として、東京証券取引所の有価証券上場規程(以下「有価証券上場規程」といいます。)を例にとって説明します。
有価証券上場規程には、記載金額の単位に関する定めはありません。
ただし、東京証券取引所は、参考様式等に基づいて決算短信等の作成・開示を行うよう、上場会社へ要請しています。
決算短信(サマリー情報)
「決算短信・四半期決算短信作成要領等(2018年8月版)」では、決算短信(サマリー情報)の記載上の注意事項として、以下の通り定められています。
他社との比較を容易にするため、原則として百万円単位になっています。
端数等の処理
・百万円単位で表示する場合は、百万円未満を切捨てすることとしていますが、
百万円未満を四捨五入しても差し支えありません。
決算短信(添付書類)(連結財務諸表)
決算短信の添付書類である連結財務諸表は、金商法及び関連法令によって記載することとなるため、上記の通り、記載金額の単位は百万円又は千円となります。
法令・取引所規則に基づく各書類の整合性
整理すると、記載金額の単位について、法令・取引所規則では以下の通り定められています。
株主総会招集通知は、一円、千円、百万円。
有価証券報告書は、千円、百万円。
決算短信は、サマリー情報については、原則百万円、
連結財務諸表については、千円、百万円。
つまり、決算短信のサマリー情報のみ、選択肢がないということとなります。
その場合、みなさんでしたらどうしますか?
各種開示書類の整合性を持たせるため、サマリー情報にあわせますよね。
ということで、開示書類の単位は、百万円としている上場会社が多いです。
ただし、サマリーは百万円単位、連結財務諸表は千円単位としている決算短信も、たまに見かけることがあります。
まとめ
開示書類の単位は、決算短信のサマリー情報に合わせ、「百万円」としている上場会社が多いです!
決算書の端数処理は切捨て?切上げ?四捨五入?
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