監査役会設置会社と、指名委員会等設置会社及び監査等委員会設置会社(あわせて、以下「委員会設置会社」といいます。)の違いについてご存じでしょうか?
当記事では、監査役会設置会社と委員会設置会社の違いのうち、監査の制度(独任制、組織的監査)について、ご説明します。
監査役会設置会社と委員会設置会社の違い(監査の制度(独任制、組織的監査))
監査の制度(独任制、組織的監査)
監査役会設置会社の監査役による監査は独任制の要素が強く、委員会設置会社の監査委員会(または、監査等委員会。)による監査は組織的監査の要素が強いといわれています。
言い換えれば、監査役会は監査権限を持つ独任の監査役の集合体であるということ、委員会設置会社の監査委員(または監査等委員。)は監査委員会(または、監査等委員会。)の一員に過ぎず、監査委員会(または、監査等委員会。)が監査権限を持つということです。
組織的監査としては、内部統制システムを活用した監査が想定されています。
このことは、委員会設置会社では、大会社であるか否かに関わらず、内部統制システムの基本方針を決定しなければならないことに表れています。
具体的には、監査権限を持つ監査委員会(または、監査等委員会。)が、監査等委員会事務局、内部監査部門、内部統制部門などを活用して、組織的監査を行うことが想定されています。
法令の定め
最後に、参考までに、上記の内容に関する会社法の定めを引用します。
(取締役会の権限等)
第三百六十二条
(略)
4 取締役会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。
(略)
六 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
(略)
5 大会社である取締役会設置会社においては、取締役会は、前項第六号に掲げる事項を決定しなければならない。
(略)(監査等委員会設置会社の取締役会の権限)
第三百九十九条の十三 監査等委員会設置会社の取締役会は、第三百六十二条の規定にかかわらず、次に掲げる職務を行う。
一 次に掲げる事項その他監査等委員会設置会社の業務執行の決定
(略)
ハ 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
(略)
2 監査等委員会設置会社の取締役会は、前項第一号イからハまでに掲げる事項を決定しなければならない。
(略)(指名委員会等設置会社の取締役会の権限)
第四百十六条 指名委員会等設置会社の取締役会は、第三百六十二条の規定にかかわらず、次に掲げる職務を行う。
一 次に掲げる事項その他指名委員会等設置会社の業務執行の決定
(略)
ホ 執行役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
(略)
2 指名委員会等設置会社の取締役会は、前項第一号イからホまでに掲げる事項を決定しなければならない。
(略)
まとめ
監査役会は監査権限を持つ独任の監査役の集合体である。
委員会設置会社の監査委員(または監査等委員。)は監査委員会(または、監査等委員会。)の一員に過ぎず、監査委員会(または、監査等委員会。)が監査権限を持つ。
組織的監査としては、内部統制システムを活用した監査が想定されている。