当サイト「株式総務」は、株式に関する総務の業務(以下「株式総務」といいます。)を解説するウェブサイトですが、株式総務ご担当の方で、四半期報告書(以下「四半報」といいます。)を作成する際、各項目の比較対象が前期末の有価証券報告書(以下「有報」といいます。)になるか、前年同期の四半報になるか、迷ったり、上司から質問されて困った方はいませんか?
私もその一人です。
当記事では、四半報の各項目について、その比較対象が、前期末の有報か、前年同期の四半報か、ご説明します。
目次
四半期報告書の各項目の比較対象は?有価証券報告書?前年同期の四半期報告書?
法令で明確に定められていない場合がある。
四半期報告書の作成の根拠となる法令は、金融商品取引法、企業内容等の開示に関する内閣府令及び四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則、(あわせて以下「四半期法関連法令」といいます。)等です。
ただ、四半期法関連法令において、四半期報告書の各項目の比較対象が、前期末の有報か、前年同期の四半報か、明確でない場合があります。
以下、各項目ごとにご説明しますが、四半期法関連法令上、明確な場合は☆印、明確でないもののおそらく間違いない場合は○印をつけることとします。
なお、四半期法関連法令の定めは以下のとおりです。
(四半期報告書の提出)
第二十四条の四の七 第二十四条第一項の規定による有価証券報告書を提出しなければならない会社(第二十三条の三第四項の規定により当該有価証券報告書を提出した会社を含む。次項において同じ。)のうち、第二十四条第一項第一号に掲げる有価証券の発行者である会社その他の政令で定めるもの(以下この項及び次項において「上場会社等」という。)は、その事業年度が三月を超える場合は、内閣府令で定めるところにより、当該事業年度の期間を三月ごとに区分した各期間(政令で定める期間を除く。以下同じ。)ごとに、当該会社の属する企業集団の経理の状況その他の公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして内閣府令で定める事項(以下この項において「四半期報告書記載事項」という。)を記載した報告書(以下「四半期報告書」という。)を、当該各期間経過後四十五日以内の政令で定める期間内(やむを得ない理由により当該期間内に提出できないと認められる場合には、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ内閣総理大臣の承認を受けた期間内)に、内閣総理大臣に提出しなければならない。この場合において、上場会社等のうち内閣府令で定める事業を行う会社は、四半期報告書記載事項のほか、当該会社の経理の状況その他の公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして内閣府令で定める事項を記載した四半期報告書を、当該各期間経過後六十日以内の政令で定める期間内(やむを得ない理由により当該期間内に提出できないと認められる場合には、内閣府令で定めるところによ
り、あらかじめ内閣総理大臣の承認を受けた期間内)に、内閣総理大臣に提出しなければならない。
(略)
(四半期報告書の記載内容等)
第十七条の十五 法第二十四条の四の七第一項の規定により四半期報告書を提出すべき会社(指定法人を含む。)又は同条第二項(法第二十七条において準用する場合を含む。)の規定により四半期報告書を提出する会社(指定法人を含む。)は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める様式により四半期報告書三通を作成し、財務局長等に提出しなければならない。この場合において、当該四半期報告書に四半期連結財務諸表を記載した場合には、四半期財務諸表については記載を要しない。
一 内国会社である場合 第四号の三様式
(略)(定義)
第一条 この府令において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(略)
二十一の二 四半期連結財務諸表 提出会社が内国会社である場合には、四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則(平成十九年内閣府令第六十四号。以下「四半期連結財務諸表規則」という。)第一条第一項に規定する四半期連結財務諸表をいい、提出会社が外国会社である場合には、当該提出会社とその子会社に相当するものとを連結した金融庁長官が認める財務計算に関する書類をいう。
(略)
(四半期連結貸借対照表の記載方法)
第三十条
(略)
2 四半期連結貸借対照表は、様式第二号により記載するものとする。(四半期連結損益計算書の記載方法)
第六十四条
(略)
2 四半期連結累計期間に係る四半期連結損益計算書は、様式第三号により記載するものとする。(四半期連結包括利益計算書の記載方法)
第八十三条の二
(略)
2 四半期連結累計期間に係る四半期連結包括利益計算書は、様式第三号の二により記載するものとする。(四半期連結キャッシュ・フロー計算書の記載方法)
第八十四条
(略)
2 四半期連結キャッシュ・フロー計算書は、様式第五号又は第六号により記載するものとする。
【表紙】
比較対象はありません。
第一部【企業情報】
第1【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
比較対象:前期の有報☆、前年同期の四半報☆
2【事業の内容】
比較対象:前期の有報☆
第2【事業の状況】
1【事業等のリスク】
比較対象:前期の有報☆
2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
経営者による財政状態の状況の分析
比較対象:前期の有報○
そもそも、財政状態の分析については、項目名でしか触れられていないため、四半期報告書への記載が必要か明確ではありませんが、記載するのであれば、BSは前期末の数値と比較することが自然と思われます。
経営者による経営成績の状況の分析
比較対象:前年同期の四半報☆
経営者によるキャッシュ・フローの状況の分析
比較対象:前年同期の四半報☆
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
比較対象:前期の有報☆
経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
比較対象:前期の有報☆
優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
比較対象:前期の有報☆
財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
比較対象:前期の有報☆
研究開発活動
比較対象:前期の有報☆
従業員数
比較対象:前期の有報☆
生産、受注及び販売の実績
比較対象:前年同期の四半報○
明確ではありませんが、PLと関連するフローの性質を持つ数値ですので、前年同期の数値と比較することが自然と思われます。
主要な設備
比較対象:前期の有報☆
3【経営上の重要な契約等】
比較対象:前期の有報☆
第3【提出会社の状況】
1【株式等の状況】
比較対象:前期の有報☆
基本的には、当四半期会計期間の末日現在の状況を記載することになりますが、「四半期末時点の発行済株式総数、資本金等の推移」等は、前期の有価証券報告書以降の状況を記載することになります。
2【役員の状況】
比較対象:前期の有報☆
第4【経理の状況】
比較対象:前期の有報☆
1【四半期連結財務諸表】
(1)【四半期連結貸借対照表】
比較対象:前期の有報☆
(2)【四半期連結損益計算書及び四半期連結包括利益計算書】
比較対象:前年同期の四半報☆
(3)【四半期連結キャッシュ・フロー計算書】
比較対象:前年同期の四半報☆
2【その他】
比較対象はありません。
第二部【提出会社の保証会社等の情報】
比較対象はありません。
(他の項目に準じて記載する場合は、その項目によります。)
まとめ
四半期報告書の各項目の比較対象が、前期末の有価証券報告書か、前年同期の四半期報告書か、ご説明しました。
おおざっぱに言えば、基本的には、前期末の有価証券報告書と比較し、フローの性質をもつものは、前年同期の四半期報告書と比較するといえそうです。