連結決算ではない決算について、どのように呼んでいますか?
個別決算、単体決算、単独決算などと呼ばれますが、どのように呼ぶのが正しいのでしょうか。どのように呼んでも、意味は通じると思いますが、理由を知っていると、経理部とコミュニケーションを取るときも、一目置かれるかもしれません。
当記事では、連結決算ではない決算の呼び方について、確認したいと思います。
目次
個別決算、単体決算、単独決算?連結決算ではない決算の呼び方は?
個別決算がベター!
結論としては、個別決算と呼ぶことがベターです。
以下に、法令・取引所規則ごとに、その理由を説明します。
会社法
会社法では、連結ではない決算書について「計算書類」(会社法435条2項)と、連結の決算書について「連結計算書類」(会社法444条1項)と定めています。
これだけですと、個別とも単体とも単独とも、言えません。
ただし、会社計算規則にて、会社法435条2項に定める「その他株式会社の財産及び損益の状況を示すために必要かつ適当なものとして法務省令で定めるもの」のうちの一つである注記のことを「個別注記表」(会社計算規則59条1項)と定めています。
金融商品取引法
金融商品取引法(以下「金商法」といいます。)では、連結ではない決算書に関する定めはありません。
金商法の関連法令である企業内容等の開示に関する内閣府令(以下「開示府令」といいます。)では、連結ではない決算書について「財務諸表」(開示府令1条20の8号)と、連結の決算書について「連結財務諸表」(開示府令1条21号)と定めています。
開示府令15条1号イに定める有価証券報告書の様式である第三号様式でも、附属明細表について、財務諸表作成のためのものは「附属明細表」、連結財務諸表作成のためのものは「連結附属明細表」と定められています。
金商法及び関連法令では、個別とも単体とも単独とも、言えません。
取引所規則
取引所規則として、東京証券取引所の有価証券上場規程(以下「有価証券上場規程」といいます。)を例にとって説明します。
有価証券上場規程には、連結ではない決算書の呼び方に関する定めはありません。
ただし、東京証券取引所は、参考様式等に基づいて決算短信等の作成・開示を行うよう、上場会社へ要請しています。
決算短信(サマリー情報)
「決算短信・四半期決算短信作成要領等(2018年8月版)(株式会社東京証券取引所)」では、決算短信(サマリー情報)の参考様式として、連結ではない決算について、「個別業績の概要」欄が設けられています。
決算短信(添付書類)
決算短信の添付書類では、そもそも連結ではない決算について、記載が求められていません。
法令・取引所規則に基づく各書類の整合性
整理すると、連結決算ではない決算の呼び方について、法令・取引所規則等では以下の通り定められています。
会社法及び関連法令には、定めなし(ただし、注記のことを「個別注記表」という。)。
金商法及び関連法令には、定めなし。
東京証券取引所の規則には、定めなし。作成要領には、個別業績と定めている。
このように、明確な定めはありませんが、
やや強引に言えば、個別と定めているケースが多い(単体や単独と定めているケースはない)ことが分かりますよね。
ということで、連結決算ではない決算は、「個別決算」と呼ぶことがベターです。
まとめ
連結決算ではない決算は、やや強引に言えば、個別と定めている法令・取引所規則等が多いため、「個別決算」と呼ぶことがベターです。