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会社法 監査

監査役会設置会社と委員会設置会社の違い(監査の制度(独任制、合議制))

投稿日:2020年8月31日 更新日:

監査役会設置会社と、指名委員会等設置会社及び監査等委員会設置会社(あわせて、以下「委員会設置会社」といいます。)の違いについてご存じでしょうか?

当記事では、監査役会設置会社と委員会設置会社の違いのうち、監査の制度(独任制、合議制)について、ご説明します。





監査役会設置会社と委員会設置会社の違い(監査の制度(独任制、合議制))

監査の制度(独任制、合議制)

監査役会設置会社の監査役による監査は独任制の要素が強く、委員会設置会社の監査委員会(または、監査等委員会。)による監査は合議制の要素が強いといわれています。

言い換えれば、監査役会は独任の監査役の集合体であるということ、委員会設置会社の監査委員(または監査等委員。)は監査委員会(または、監査等委員会。)の一員に過ぎない、ということです。

このことは、監査役・監査委員会・監査等委員会にとって、取締役等の職務執行監査と並び重要な権限である、監査報告の作成手続きに表れています。

監査役会設置会社では、各監査役が作成した監査報告を監査役会にて集約します。
一方、委員会設置会社では、監査委員会(または、監査等委員会。)にて監査委員(または監査等委員。)の多数決により監査報告の内容を決定します。

法令の定め

最後に、参考までに、上記の内容に関する会社法及び会社法関連法令の定めを引用します。

(監査役の権限)
第三百八十一条 監査役は、取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役及び会計参与)の職務の執行を監査する。この場合において、監査役は、法務省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない。
(略)

(監査等委員会の権限等)
第三百九十九条の二
(略)
3 監査等委員会は、次に掲げる職務を行う。
一 取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役及び会計参与)の職務の執行の監査及び監査報告の作成
(略)

(指名委員会等の権限等)
第四百四条
(略)
2 監査委員会は、次に掲げる職務を行う。
一 執行役等(執行役及び取締役をいい、会計参与設置会社にあっては、執行役、取締役及び会計参与をいう。以下この節において同じ。)の職務の執行の監査及び監査報告の作成
(略)

会社法

(監査役の監査報告の内容)
第百二十九条 監査役は、事業報告及びその附属明細書を受領したときは、次に掲げる事項(監査役会設置会社の監査役の監査報告にあっては、第一号から第六号までに掲げる事項)を内容とする監査報告を作成しなければならない。
一 監査役の監査(計算関係書類に係るものを除く。以下この款において同じ。)の方法及びその内容
二 事業報告及びその附属明細書が法令又は定款に従い当該株式会社の状況を正しく示しているかどうかについての意見
三 当該株式会社の取締役(当該事業年度中に当該株式会社が指名委員会等設置会社であった場合にあっては、執行役を含む。)の職務の遂行に関し、不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があったときは、その事実
四 監査のため必要な調査ができなかったときは、その旨及びその理由
五 第百十八条第二号に掲げる事項(監査の範囲に属さないものを除く。)がある場合において、当該事項の内容が相当でないと認めるときは、その旨及びその理由
六 第百十八条第三号若しくは第五号に規定する事項が事業報告の内容となっているとき又は前条第三項に規定する事項が事業報告の附属明細書の内容となっているときは、当該事項についての意見
七 監査報告を作成した日
2 前項の規定にかかわらず、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社の監査役は、同項各号に掲げる事項に代えて、事業報告を監査する権限がないことを明らかにした監査報告を作成しなければならない。

(監査役会の監査報告の内容等)
第百三十条 監査役会は、前条第一項の規定により監査役が作成した監査報告(以下この条において「監査役監査報告」という。)に基づき、監査役会の監査報告(以下この条において「監査役会監査報告」という。)を作成しなければならない。
2 監査役会監査報告は、次に掲げる事項を内容とするものでなければならない。この場合において、監査役は、当該事項に係る監査役会監査報告の内容と当該事項に係る当該監査役の監査役監査報告の内容が異なる場合には、当該事項に係る監査役監査報告の内容を監査役会監査報告に付記することができる。
一 監査役及び監査役会の監査の方法及びその内容
二 前条第一項第二号から第六号までに掲げる事項
三 監査役会監査報告を作成した日
3 監査役会が監査役会監査報告を作成する場合には、監査役会は、一回以上、会議を開催する方法又は情報の送受信により同時に意見の交換をすることができる方法により、監査役会監査報告の内容(前項後段の規定による付記の内容を除く。)を審議しなければならない。

(監査等委員会の監査報告の内容等)
第百三十条の二 監査等委員会は、事業報告及びその附属明細書を受領したときは、次に掲げる事項を内容とする監査報告を作成しなければならない。この場合において、監査等委員は、当該事項に係る監査報告の内容が当該監査等委員の意見と異なる場合には、その意見を監査報告に付記することができる。
一 監査等委員会の監査の方法及びその内容
二 第百二十九条第一項第二号から第六号までに掲げる事項
三 監査報告を作成した日
2 前項に規定する監査報告の内容(同項後段の規定による付記の内容を除く。)は、監査等委員会の決議をもって定めなければならない。

(監査委員会の監査報告の内容等)
第百三十一条 監査委員会は、事業報告及びその附属明細書を受領したときは、次に掲げる事項を内容とする監査報告を作成しなければならない。この場合において、監査委員は、当該事項に係る監査報告の内容が当該監査委員の意見と異なる場合には、その意見を監査報告に付記することができる。
一 監査委員会の監査の方法及びその内容
二 第百二十九条第一項第二号から第六号までに掲げる事項
三 監査報告を作成した日
2 前項に規定する監査報告の内容(同項後段の規定による付記の内容を除く。)は、監査委員会の決議をもって定めなければならない。

会社法施行規則

まとめ

監査役会設置会社の監査役による監査は独任制の要素が強く、委員会設置会社の監査委員会(または、監査等委員会。)による監査は合議制の要素が強い。

監査役会設置会社では、各監査役が作成した監査報告を監査役会にて集約し、委員会設置会社では、監査委員会(または、監査等委員会。)にて監査委員(または監査等委員。)の多数決により監査報告の内容を決定する。

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