監査役会設置会社と、指名委員会等設置会社及び監査等委員会設置会社(あわせて、以下「委員会設置会社」といいます。)の違いについてご存じでしょうか?
当記事では、監査役会設置会社と委員会設置会社の違いのうち、監査の性質(適法性監査、妥当性監査)について、ご説明します。
目次
監査役会設置会社と委員会設置会社の違い(監査の性質(適法性監査、妥当性監査))
監査の性質(適法性監査、妥当性監査)の違い
「適法性監査、妥当性監査とは?その違いは?」でご説明したように、適法性監査とは、職務執行が適法か否かの監査を、妥当性監査とは、職務執行が妥当か否かの監査をいいます。
取締役会における議決権
「監査役会設置会社と委員会設置会社の違い(取締役会における議決権)」でご説明したように、監査役会設置会社の監査役は取締役会における議決権を持たず、指名委員会等設置会社の監査委員である取締役、監査等委員会設置会社の監査等委員である取締役は取締役会における議決権を持ちます。
法令上は監査の性質に差がない?
監査役会設置会社の監査役による監査と、委員会設置会社の監査委員会(または、監査等委員会。)による監査について、法令上は、取締役等の職務執行監査及び監査報告作成となっており、差があるようには見えません。
監査の性質の実質的な差(適法性監査、妥当性監査)
一般的に、監査役会設置会社の監査役による監査は適法性監査のみ、委員会設置会社の監査委員会(または、監査等委員会。)による監査は適法性監査+妥当性監査と言われています。
上記「法令上は監査の性質に差がない?」で記載したように、法令上は監査の性質に差があるように見えないのに、なぜでしょうか?
なぜなら、上記「取締役会における議決権」に記載しているように、指名委員会等設置会社の監査委員である取締役、監査等委員会設置会社の監査等委員である取締役は取締役会における議決権を持つため、業務執行者の選定・解職や、業務執行の決定に関与し、必然的に職務執行の妥当性を監査することとなります。
法令の定め
最後に、参考までに、上記の内容に関する会社法の定めを引用します。
(監査役の権限)
第三百八十一条 監査役は、取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役及び会計参与)の職務の執行を監査する。この場合において、監査役は、法務省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない。
(略)(監査等委員会の権限等)
第三百九十九条の二
(略)
3 監査等委員会は、次に掲げる職務を行う。
一 取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役及び会計参与)の職務の執行の監査及び監査報告の作成
(略)(指名委員会等の権限等)
第四百四条
(略)
2 監査委員会は、次に掲げる職務を行う。
一 執行役等(執行役及び取締役をいい、会計参与設置会社にあっては、執行役、取締役及び会計参与をいう。以下この節において同じ。)の職務の執行の監査及び監査報告の作成
(略)
まとめ
監査役会設置会社の監査役による監査は適法性監査のみ、委員会設置会社の監査委員会(または、監査等委員会。)による監査は適法性監査+妥当性監査と言われています。