「決算書の端数処理は切捨て?切上げ?四捨五入?」の記事では、決算書の端数処理が切捨てか、切上げか、四捨五入か、確認しました。
また、「決算書の単位は百万円?千円?」の記事では、決算書に記載する金額の単位に決まりがあるか確認しました。
株式総務担当として、株主総会招集通知の事業報告(会社法)や、有価証券報告書の非財務情報(金融商品取引法)を作成するとき、また、経理の作成した決算書(計算書類、財務諸表)を確認するとき、記載金額が0(ゼロ、0百万円)だったり、–(バー、ダッシュ)になっていることがありますが、気になったことはありませんか?
当記事では、決算書の0や–の表記について、確認したいと思います。
目次
決算書の0(ゼロ、0百万円)と–(バー、ダッシュ)の意味は?違いは?0円の場合は?
法令の定めはない
まず、前提として、以下に記載する事項は、会社法及び関連法令、金融商品取引法及び関連法令、並びに取引所規則(例として、東京証券取引所の有価証券上場規程)における定めはありません。
ただし、東京証券取引所は、参考様式等に基づいて決算短信等の作成・開示を行うよう、上場会社へ要請しています。
決算書の0(ゼロ、0百万円)と–(バー、ダッシュ)は単位未満の値の状態を表している
上記の通り、法令の定めはないのですが、決算書の0(ゼロ、0百万円)と–(バー、ダッシュ)は、決算書の金額の単位未満(例えば、単位が百万円とした場合、百万円未満を指します。)の値の状態を表しています。
0(ゼロ、0百万円)と–(バー、ダッシュ)以外の場合は何を表しているのか?
そもそも、0(ゼロ、0百万円)と–(バー、ダッシュ)以外の場合は何を表しているのでしょうか?
数値が存在する項目であり、かつ単位以上の数値が存在する場合を指しています。
例えば、決算書が百万円単位で記載されていて、短期借入金が200万円の場合、「短期借入金 2百万円」ということになります。
0(ゼロ、0百万円)は何を表しているのか?
数値が存在する項目であるものの、単位未満の数値が存在する場合を指しています。
例えば、決算書が百万円単位で記載されていて、短期借入金が90万円の場合、「短期借入金 0百万円」ということになります。
–(バー、ダッシュ)は何を表しているのか?
数値が存在しない項目であることを指しています。
例えば、決算書が百万円単位で記載されていて、短期借入金が0円の場合、そもそも短期借入金の項目は必要ないのですが、前年比較等で項目を設ける必要がある場合、「短期借入金 –百万円」ということになります。
注意事項
0円でも–(バー、ダッシュ)にならない場合がある
インターネット上にある本記事と同様の記事では、単純に「単位未満の数値がある場合は0、0円の場合は–」と書かれているものがあります。公認会計士、税理士及び経理部の方が、そのように書かれている記事もあります。
ただ、それは厳密には間違っているのかな、と思います。
例えば、損益計算書のうち売上高や各段階利益(営業利益、経常利益、等)及び貸借対照表のうち合計額(資産合計、流動資産合計、固定資産合計、負債合計、流動負債合計、固定負債合計、純資産合計、負債純資産合計)については、仮に0円の場合(非常に稀なケースですが。)でも、–(バー、ダッシュ)ではなく、0(ゼロ、0百万円)と表記すると思われます。
つまり、上記の通り、数値が存在する項目なのか否かが、記載の前提となります。
–の読み方
一般的には、「–」は「バー」と呼ばれることが多いです。自分もそう呼ぶ方としか今のところ出会ったことはありません。
ただ、正確には「ダッシュ」と読むようです。
Googleで「financial statements zero dash」と検索すると、お分かりいただけるのではと思います。
まとめ
0(ゼロ、0百万円)は、数値が存在する項目であるものの、単位未満の数値が存在する場合を指している!
–(バー、ダッシュ)は、数値が存在しない項目であることを指している!
決算書の端数処理は切捨て?切上げ?四捨五入?
決算書の単位は百万円?千円?
あわせて、上記の記事もぜひご覧ください。