新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い、定時株主総会を延期した場合(事業年度の終了後3か月より後に開催する場合)において、定時株主総会の決議事項(例えば、役員選任議案。)と、有価証券報告書の記載(例えば、「役員の状況」欄。)の兼ね合いについて、気になる方もいるかと思いますので、整理してみました。
目次
関係省庁からの通知
まず、関係省庁からの通知を確認しましょう。
株主総会
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い、株主総会について、以下の通り、通知されています。
法務省「定時株主総会の開催について」
経済産業省及び法務省「株主総会運営に係るQ&A」
有価証券報告書
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴い、有価証券報告書について、以下の通り、通知されています。
金融庁「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言を踏まえた有価証券報告書等の提出期限の延長について」
想定ケースに応じた必要な対応
次に、想定ケースに応じて、どのような対応が必要になるか、整理します。
なお、「延期する定時株主総会開催日」、「有価証券報告書提出日」、「有価証券報告書提出期限(2020年9月末)」の日付を以下のように整理します。
A 延期する定時株主総会開催日
B 有価証券報告書提出日
C 有価証券報告書提出期限(2020年9月末)
上記A、B、Cの組み合わせにより、6つのケースが想定されます。
ケース①(A→B→Cとなる場合)
定時株主総会後に、有価証券報告書を提出しますので、特段の問題はありません。
ケース②(B→C→Aとなる場合)
ケース③(B→A→Cとなる場合)
この2ケースでは、状況としては、「株主総会前の有価証券報告書提出(有価証券報告書の早期提出)」と同様になると思われます。
その場合、役員の状況については、有価証券報告書提出日現在の状況を記載し、注記として株主総会決議後の状況を記載することとなります。
具体例としては、「日本取引所グループの有価証券報告書」のような記載となります。
なお、仮に、後日開催する株主総会にて、修正・否決された場合は、臨時報告書の提出要件に該当します。
参考までに、この2ケースの有価証券報告書の提出日については、「株主総会招集について及び株主総会上程議案について取締役会決議をした後で、かつ有価証券報告書提出期限(2020年9月末)より前のいずれかの取締役会開催日(株主総会招集について及び株主総会上程議案についての取締役会決議と同日の可能性もあり。)」ということになろうかと思います。
ケース④(A→C→Bとなる場合)
ケース⑤(C→A→Bとなる場合)
ケース⑥(C→B→Aとなる場合)
有価証券報告書提出日が、有価証券報告書提出期限(2020年9月末)を超過しているため、そもそもこの3ケースは認められません。
まとめ
有価証券報告書提出日より後に、延期する定時株主総会開催日を設定する可能性があり、かつ「株主総会前の有価証券報告書提出(有価証券報告書の早期提出)」を行ったことがない場合は、充分注意しましょう!