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株主総会決議の定足数・表決数は変更できる?

投稿日:2020年9月13日 更新日:

株主総会決議の定足数・表決数を定款の定めで変更できる、ということは聞いたことがあるのではと思います。
会社有利に変更しようとしたら、どのように変更できるのでしょうか?

当記事では、株主総会決議の定足数・表決数は変更できるか否か、会社有利に変更しようとしたら、どのように変更できるか、について、ご説明いたします。





株主総会決議の定足数・表決数は変更できる?

普通決議(剰余金の配当など)

法定では、定足数は、総株主の議決権の過半数、表決数は出席株主の議決権の過半数です。
会社有利に定款変更を行うと、定足数は、排除でき、表決数は、会社有利の変更はできません。

特殊普通決議(役員の選任など)

法定では、定足数は、総株主の議決権の過半数、表決数は出席株主の議決権の過半数です。
会社有利に定款変更を行うと、定足数は、総株主の議決権の1/3以上に変更でき、表決数は、会社有利の変更はできません。

特別決議(定款の変更など)

法定では、定足数は、総株主の議決権の過半数、表決数は出席株主の議決権の2/3以上です。
会社有利に定款変更を行うと、定足数は、総株主の議決権の1/3以上に変更でき、表決数は、会社有利の変更はできません。

法令の定め

最後に、参考までに、上記の内容に関する会社法の定めを引用します。

(株主総会の決議)
第三百九条 株主総会の決議は、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行う。
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる株主総会の決議は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の三分の二(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数をもって行わなければならない。この場合においては、当該決議の要件に加えて、一定の数以上の株主の賛成を要する旨その他の要件を定款で定めることを妨げない。
一 第百四十条第二項及び第五項の株主総会
二 第百五十六条第一項の株主総会(第百六十条第一項の特定の株主を定める場合に限る。)
三 第百七十一条第一項及び第百七十五条第一項の株主総会
四 第百八十条第二項の株主総会
五 第百九十九条第二項、第二百条第一項、第二百二条第三項第四号、第二百四条第二項及び第二百五条第二項の株主総会
六 第二百三十八条第二項、第二百三十九条第一項、第二百四十一条第三項第四号、第二百四十三条第二項及び第二百四十四条第三項の株主総会
七 第三百三十九条第一項の株主総会(第三百四十二条第三項から第五項までの規定により選任された取締役(監査等委員である取締役を除く。)を解任する場合又は監査等委員である取締役若しくは監査役を解任する場合に限る。)
八 第四百二十五条第一項の株主総会
九 第四百四十七条第一項の株主総会(次のいずれにも該当する場合を除く。)
イ 定時株主総会において第四百四十七条第一項各号に掲げる事項を定めること。
ロ 第四百四十七条第一項第一号の額がイの定時株主総会の日(第四百三十九条前段に規定する場合にあっては、第四百三十六条第三項の承認があった日)における欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えないこと。
十 第四百五十四条第四項の株主総会(配当財産が金銭以外の財産であり、かつ、株主に対して同項第一号に規定する金銭分配請求権を与えないこととする場合に限る。)
十一 第六章から第八章までの規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会
十二 第五編の規定により株主総会の決議を要する場合における当該株主総会
(略)

(役員の選任及び解任の株主総会の決議)
第三百四十一条 第三百九条第一項の規定にかかわらず、役員を選任し、又は解任する株主総会の決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(三分の一以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行わなければならない。

会社法

まとめ

株主総会決議の定足数は、会社有利に変更することができます。
株主総会決議の表決数は、会社有利に変更することができません。

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