会社法等の法令上、保存の義務がある書類について、どこに保存されているか(保存場所)、何年分保存しているか(保存期間、保存期限)、把握していますか?
いざというときに慌てないよう、確認しておきましょう。
また、「電子署名された取締役会議事録の電子データとしての保存は可能?」でもご紹介したように、書類の電子署名や、その結果としての電子保存のニーズも高まっていますので、
この機会に、書類の保存期間を確認いただくこともお勧めします。
当記事では、書類の法令上の保存期間をご説明します。
目次
書類の保存期間(会社法、金融商品取引法)
会社法
まず、会社法上の書類の保存期間についてご説明します。
なお、取締役会設置会社、会計監査人設置会社を想定しています。
持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)、取締役会非設置会社、会計参与設置会社の方々には、お役に立てず申し訳ございません。
会社法では、株主・債権者等の権利者による、対象の書類の閲覧又は謄写の請求に対応するための「備置き(備え置き)」の期間と、単に「保存」すれば良い期間と、二つの定めがあります。
一方の期間(備置きの期間が短いです。)が経過したからといって、書類の保存をやめる(書類を破棄する。)ことの無いようにご注意ください。
また、備置きが必要な書類は、備え置くだけでなく(保存するだけでなく。)、閲覧及び謄写の請求への対応も必要になりますので、お忘れなきようご注意ください。
以下、会社法上の書類の保存期間の一覧です(代表的なものに限っています。)。
(計算書類は、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び個別注記表を指します。)
備置き
備え置く場所は、原則として本店ですが、支店への備置きも必要な場合は、その旨を備考欄に記載しています。
備置き期間:期限なし(永久、常に)
書類名 | 根拠条文 | 備考 |
定款 | 31条 | 支店 |
株主名簿 | 125条 | |
株券喪失登録簿 | 231条 | |
新株予約権原簿 | 251条 | |
社債原簿 | 684条 |
備置き期間:10年
書類名 | 起算日 | 根拠条文 | 備考 |
株主総会議事録 | 株主総会の日 | 318条 | 支店(写しを5年間) |
取締役会議事録 | 取締役会の日 | 371条 | |
監査役会議事録 | 監査役会の日 | 394条 | |
監査等委員会議事録 | 監査等委員会の日 | 399条の11 | |
指名委員会等議事録 | 指名委員会等の日 | 413条 |
備置き期間:5年
書類名 | 起算日 | 根拠条文 | 備考 |
計算書類(附属明細書含む。) | 定時株主総会の2週間前の日 | 442条 | 支店(写しを3年間) |
事業報告(附属明細書含む。) | |||
監査報告 | |||
会計監査報告 |
備置き期間:3か月間
書類名 | 起算日 | 根拠条文 |
議決権の代理権を証明する書面(委任状) | 株主総会の日 | 310条 |
議決権行使書面 | 311条 |
保存
保存期間:10年
書類名 | 起算日 | 根拠条文 |
会計帳簿及び事業に関する重要な資料 | 会計帳簿の閉鎖の時 | 432条 |
計算書類 | 計算書類を作成した時 | 435条 |
金融商品取引法(金商法)
金融商品取引法(以下「金商法」といいます。)では、対象の書類のを公衆の縦覧に供すための「備置き(備え置き)」の期間の定めがあります。
以下、金商法上の書類の保存期間の一覧です(代表的なものに限っています。)。
備置き
備え置く場所は、本店及び主要な支店です。
備置き期間:5年
書類名 | 起算日 | 根拠条文 |
有価証券報告書及びその添付書類(写し) | 内閣総理大臣に提出した日 | 25条 |
上記の訂正報告書(写し) | ||
内部統制報告書及びその添付書類(写し) | ||
上記の訂正報告書(写し) |
備置き期間:3年
書類名 | 起算日 | 根拠条文 |
四半期報告書(写し) | 内閣総理大臣に提出した日 | 25条 |
上記の訂正報告書(写し) | ||
確認書(写し) | ||
上記の訂正報告書(写し) |
備置き期間:1年
書類名 | 起算日 | 根拠条文 |
臨時報告書(写し) | 内閣総理大臣に提出した日 | 25条 |
上記の訂正報告書 |
まとめ
法令上の書類の保存期間を把握し、いざというときに慌てないようにしましょう。
電子署名された取締役会議事録の電子データとしての保存は可能?
上記の記事もご参照ください。