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監査報告書の種類は?全部でいくつある?決算短信には不要?

投稿日:2020年5月5日 更新日:

株主総会招集通知や有価証券報告書を見る際に、監査報告書は全部でいくつあるんだろうと思ったことはないですか?
当記事では、監査報告書の種類や数について、確認したいと思います。




監査報告書の種類は?いくつある?決算短信には不要?

監査報告書は年間8つ!決算短信には不要!

結論としては、1社当たり年間8つの監査報告書(レビュー報告書含む。以下同様です。)が作成されています。
(前提として、会社法上の監査役会設置会社、会計監査人設置会社及び連結計算書類作成会社、金融商品取引法上の有価証券報告書提出会社、連結財務諸表作成会社、内部統制報告書提出会社並びに東京証券取引所に上場している会社を兼ねる場合です。)
以下に、法令・取引所規則ごとに、その監査義務と報告義務を説明します。

会社法

会社法及び関連法令上、次の3つの監査報告書が作成されることとなります。

  • 計算書類に係る監査報告書(会計監査人)
  • 連結計算書類に係る監査報告書(会計監査人)
  • 監査報告書(監査役会)

その根拠は、次の通りです。
連結計算書類に係る監査報告書の株主への報告は義務ではないことが分かります。

会社が監査を受ける義務

(計算書類等の監査等)
第四百三十六条

(略)

2 会計監査人設置会社においては、次の各号に掲げるものは、法務省令で定めるところにより、当該各号に定める者の監査を受けなければならない。
一 前条第二項の計算書類及びその附属明細書 監査役(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)及び会計監査人
二 前条第二項の事業報告及びその附属明細書 監査役(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)

(以下略)

会社法

第四百四十四条

(略)

4 連結計算書類は、法務省令で定めるところにより、監査役(監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)及び会計監査人の監査を受けなければならない。

(以下略)

会社法

監査役が監査報告を作成する義務

(監査役の権限)
第三百八十一条 監査役は、取締役(会計参与設置会社にあっては、取締役及び会計参与)の職務の執行を監査する。この場合において、監査役は、法務省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならない。

(以下略)

会社法

(監査役の監査報告の内容)
第百二十九条 監査役は、事業報告及びその附属明細書を受領したときは、次に掲げる事項(監査役会設置会社の監査役の監査報告にあっては、第一号から第六号までに掲げる事項)を内容とする監査報告を作成しなければならない。

(以下略)

会社法施行規則

(会計監査人設置会社の監査役の監査報告の内容)
第百二十七条 会計監査人設置会社の監査役は、計算関係書類及び会計監査報告(第百三十条第三項に規定する場合にあっては、計算関係書類)を受領したときは、次に掲げる事項(監査役会設置会社の監査役の監査報告にあっては、第一号から第五号までに掲げる事項)を内容とする監査報告を作成しなければならない。

(以下略)

会社計算規則

監査役会が監査報告を作成する義務

第三百九十条

(略)

2 監査役会は、次に掲げる職務を行う。ただし、第三号の決定は、監査役の権限の行使を妨げることはできない。
一 監査報告の作成

(以下略)

会社法

(監査役会の監査報告の内容等)
第百三十条 監査役会は、前条第一項の規定により監査役が作成した監査報告(以下この条において「監査役監査報告」という。)に基づき、監査役会の監査報告(以下この条において「監査役会監査報告」という。)を作成しなければならない。

(以下略)

会社法施行規則

(会計監査人設置会社の監査役会の監査報告の内容等)
第百二十八条 会計監査人設置会社の監査役会は、前条の規定により監査役が作成した監査報告(以下この条において「監査役監査報告」という。)に基づき、監査役会の監査報告(以下この条において「監査役会監査報告」という。)を作成しなければならない。

(以下略)

会社計算規則

会計監査人が監査報告を作成する義務

(会計監査人の権限等)
第三百九十六条 会計監査人は、次章の定めるところにより、株式会社の計算書類及びその附属明細書、臨時計算書類並びに連結計算書類を監査する。この場合において、会計監査人は、法務省令で定めるところにより、会計監査報告を作成しなければならない。

(以下略)

会社法

(会計監査報告の内容)
第百二十六条 会計監査人は、計算関係書類を受領したときは、次に掲げる事項を内容とする会計監査報告を作成しなければならない。

(以下略)

会社計算規則

会社が株主へ監査報告を提供する義務

(計算書類等の株主への提供)
第四百三十七条 取締役会設置会社においては、取締役は、定時株主総会の招集の通知に際して、法務省令で定めるところにより、株主に対し、前条第三項の承認を受けた計算書類及び事業報告(同条第一項又は第二項の規定の適用がある場合にあっては、監査報告又は会計監査報告を含む。)を提供しなければならない。

(以下略)

会社法

第百三十三条 法第四百三十七条の規定により株主に対して行う提供事業報告(次の各号に掲げる株式会社の区分に応じ、当該各号に定めるものをいう。以下この条において同じ。)の提供に関しては、この条に定めるところによる。

(略)

二 監査役設置会社、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社 次に掲げるもの
イ 事業報告
ロ 事業報告に係る監査役(監査役会設置会社にあっては監査役会、監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)の監査報告があるときは、当該監査報告(二以上の監査役が存する株式会社(監査役会設置会社を除く。)の各監査役の監査報告の内容(監査報告を作成した日を除く。)が同一である場合にあっては、一又は二以上の監査役の監査報告)

(以下略)

会社法施行規則

(計算書類等の提供)
第百三十三条 法第四百三十七条の規定により株主に対して行う提供計算書類(次の各号に掲げる株式会社の区分に応じ、当該各号に定めるものをいう。以下この条において同じ。)の提供に関しては、この条に定めるところによる。

(略)

三 会計監査人設置会社 次に掲げるもの
イ 計算書類
ロ 計算書類に係る会計監査報告があるときは、当該会計監査報告

(略)

ホ 計算書類に係る監査役(監査役会設置会社にあっては監査役会、監査等委員会設置会社にあっては監査等委員会、指名委員会等設置会社にあっては監査委員会)の監査報告があるときは、当該監査報告(二以上の監査役が存する株式会社(監査役会設置会社を除く。)の各監査役の監査報告の内容(監査報告を作成した日を除く。)が同一である場合にあっては、一又は二以上の監査役の監査報告)

(以下略)

会社計算規則

(連結計算書類の提供)
第百三十四条 法第四百四十四条第六項の規定により株主に対して連結計算書類の提供をする場合において、定時株主総会の招集通知を次の各号に掲げる方法により行うときは、連結計算書類は、当該各号に定める方法により提供しなければならない。
一 書面の提供 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める方法
イ 連結計算書類が書面をもって作成されている場合 当該書面に記載された事項を記載した書面の提供
ロ 連結計算書類が電磁的記録をもって作成されている場合 当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面の提供
二 電磁的方法による提供 次のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、当該イ又はロに定める方法
イ 連結計算書類が書面をもって作成されている場合 当該書面に記載された事項の電磁的方法による提供
ロ 連結計算書類が電磁的記録をもって作成されている場合 当該電磁的記録に記録された事項の電磁的方法による提供
2 前項の連結計算書類に係る会計監査報告又は監査報告がある場合において、当該会計監査報告又は監査報告の内容をも株主に対して提供することを定めたときにおける同項の規定の適用については、同項第一号イ及びロ並びに第二号イ及びロ中「連結計算書類」とあるのは、「連結計算書類(当該連結計算書類に係る会計監査報告又は監査報告を含む。)」とする。

(以下略)

会社計算規則

金融商品取引法

金融商品取引法及び関連法令上、次の3つの監査報告書が作成されることとなります。
四半期レビュー報告書は年間3回作成されるため、計5つとなります。

  • 財務諸表に係る監査報告書(公認会計士又は監査法人)
  • 連結財務諸表に係る監査報告書及び内部統制報告書(公認会計士又は監査法人)
  • 四半期レビュー報告書(公認会計士又は監査法人)

その根拠は、次の通りです。
内部統制監査報告書そのものの財務局長等への提出義務は無いようですが、やむを得ない理由があり内部統制監査報告書と監査報告書を合わせて作成できない場合、内部統制監査報告書を財務局長等へ提出しないことは認められるのか、気になりました。

会社が監査を受ける義務

(公認会計士又は監査法人による監査証明)
第百九十三条の二 金融商品取引所に上場されている有価証券の発行会社その他の者で政令で定めるもの(次条において「特定発行者」という。)が、この法律の規定により提出する貸借対照表、損益計算書その他の財務計算に関する書類で内閣府令で定めるもの(第四項及び次条において「財務計算に関する書類」という。)には、その者と特別の利害関係のない公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

(略)

2 金融商品取引所に上場されている有価証券の発行会社その他の者で政令で定めるもの(第四号において「上場会社等」という。)が、第二十四条の四の四の規定に基づき提出する内部統制報告書には、その者と特別の利害関係のない公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければならない。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

(以下略)

金融商品取引法

公認会計士又は監査法人が監査報告書を作成する義務

(監査証明の手続)
第三条 財務諸表(財務諸表等規則第一条第一項に規定する財務諸表をいう。以下同じ。)、財務書類又は連結財務諸表(以下「財務諸表等」という。)の監査証明は、財務諸表等の監査を実施した公認会計士又は監査法人が作成する監査報告書により、中間財務諸表(中間財務諸表等規則第一条第一項に規定する中間財務諸表をいう。以下同じ。)又は中間連結財務諸表(以下「中間財務諸表等」という。)の監査証明は、中間財務諸表等の監査(以下「中間監査」という。)を実施した公認会計士又は監査法人が作成する中間監査報告書により、四半期財務諸表(四半期財務諸表等規則第一条第一項に規定する四半期財務諸表をいう。以下同じ。)又は四半期連結財務諸表(以下「四半期財務諸表等」という。)の監査証明は、四半期財務諸表等の監査(以下「四半期レビュー」という。)を実施した公認会計士又は監査法人が作成する四半期レビュー報告書により行うものとする。

(以下略)

財務諸表等の監査証明に関する内閣府令

(適用の一般原則)
第一条

(略)

2 法第百九十三条の二第二項の規定による内部統制報告書の監査証明は、内部統制報告書の監査を実施した公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士を含む。以下同じ。)又は監査法人が作成する内部統制監査報告書により行うものとする。

(以下略)

財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制に関する内閣府令

第七条 第一条第二項に規定する内部統制監査報告書は、財務諸表等の監査証明に関する内閣府令(昭和三十二年大蔵省令第十二号)第三条第一項に規定する監査報告書と合わせて作成するものとする。ただし、やむを得ない理由がある場合には、この限りではない。

(以下略)

財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制に関する内閣府令

会社が財務局長等へ監査報告書を提供する義務

(有価証券報告書の提出)
第二十四条 有価証券の発行者である会社は、その会社が発行者である有価証券(特定有価証券を除く。次の各号を除き、以下この条において同じ。)が次に掲げる有価証券のいずれかに該当する場合には、内閣府令で定めるところにより、事業年度ごとに、当該会社の商号、当該会社の属する企業集団及び当該会社の経理の状況その他事業の内容に関する重要な事項その他の公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして内閣府令で定める事項を記載した報告書(以下「有価証券報告書」という。)を、内国会社にあつては当該事業年度経過後三月以内(やむを得ない理由により当該期間内に提出できないと認められる場合には、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ内閣総理大臣の承認を受けた期間内)、外国会社にあつては公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして政令で定める期間内に、内閣総理大臣に提出しなければならない。

(以下略)

金融商品取引法

(有価証券報告書の記載内容等)
第十五条 法第二十四条第一項又は第三項の規定により有価証券報告書を提出すべき会社(指定法人を含む。)は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める様式により有価証券報告書三通を作成し、財務局長等に提出しなければならない。
一 内国会社
イ 法第二十四条第一項の規定による場合及び同条第三項の規定による場合のうち同条第一項本文(法第二十七条において準用する場合を含む。第十六条の二において同じ。)の規定の適用を受けない会社(指定法人を含む。)が発行者である有価証券が同項第三号(法第二十七条において準用する場合を含む。第十六条の二において同じ。)に掲げる有価証券に該当することとなつたとき(ロに掲げる場合を除く。) 第三号様式

(略)

第三号様式

(略)

(記載上の注意)

(略)

(41) 連結財務諸表

(略)

c 連結財務諸表に対する監査報告書は、連結財務諸表に添付すること。

(以下略)

企業内容等の開示に関する内閣府令

(四半期報告書の提出)
第二十四条の四の七 第二十四条第一項の規定による有価証券報告書を提出しなければならない会社(第二十三条の三第四項の規定により当該有価証券報告書を提出した会社を含む。次項において同じ。)のうち、第二十四条第一項第一号に掲げる有価証券の発行者である会社その他の政令で定めるもの(以下この項及び次項において「上場会社等」という。)は、その事業年度が三月を超える場合は、内閣府令で定めるところにより、当該事業年度の期間を三月ごとに区分した各期間(政令で定める期間を除く。以下同じ。)ごとに、当該会社の属する企業集団の経理の状況その他の公益又は投資者保護のため必要かつ適当なものとして内閣府令で定める事項(以下この項において「四半期報告書記載事項」という。)を記載した報告書(以下「四半期報告書」という。)を、当該各期間経過後四十五日以内の政令で定める期間内(やむを得ない理由により当該期間内に提出できないと認められる場合には、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ内閣総理大臣の承認を受けた期間内)に、内閣総理大臣に提出しなければならない。

(以下略)

金融商品取引法

(四半期報告書の記載内容等)
第十七条の十五 法第二十四条の四の七第一項の規定により四半期報告書を提出すべき会社(指定法人を含む。)又は同条第二項(法第二十七条において準用する場合を含む。)の規定により四半期報告書を提出する会社(指定法人を含む。)は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める様式により四半期報告書三通を作成し、財務局長等に提出しなければならない。この場合において、当該四半期報告書に四半期連結財務諸表を記載した場合には、四半期財務諸表については記載を要しない。
一 内国会社である場合 第四号の三様式

(略)

第四号の三様式

(略)

(記載上の注意)

(略)

⒆ 四半期連結財務諸表

(略)

h 四半期連結財務諸表に対する四半期レビュー報告書は、四半期連結財務諸表に添
付すること。

(以下略)

企業内容等の開示に関する内閣府令

取引所規則

取引所規則として、東京証券取引所の有価証券上場規程(以下「有価証券上場規程」といいます。)を例にとって説明します。
有価証券上場規程には、監査に関する定めはありません。
ただし、東京証券取引所は、参考様式等に基づいて決算短信等の作成・開示を行うよう、上場会社へ要請しています。
「決算短信・四半期決算短信作成要領等(2018年8月版)」では、決算短信等の開示に関する要請事項として、以下の通り定められております。
つまり、決算短信や四半期決算短信は監査が不要です。

〔決算短信等には監査等が不要であることについて〕
・ 決算の内容の開示について、上場規程においては、「決算の内容が定まった場合」に直ちにその内容を開示することを求めており、監査や四半期レビューの手続きの終了は開示の要件とはしていません。これは、決算短信等には、事業報告等や有価証券報告書などの法定開示に先立って決算の内容を迅速に開示する速報としての役割が求められるためです。決算短信等における決算の内容の客観性は、監査等により確定した決算の内容が法定開示として後から開示されることで、担保されることとなります。

決算短信・四半期決算短信作成要領等(2018年8月版)(株式会社東京証券取引所)

まとめ

監査報告書は1社当たり年間8つ作成されており、決算短信には監査は不要です。

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-有価証券報告書, 会社法, 金融商品取引法, 取引所規則, 監査

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名前:
火星に似たもの

職業:
とある会社で株式総務を担当しています。
株式総務に関するウェブサイトが少ないな、あると便利なのにな、と思い、拙くも開設してみました。