株主総会招集通知の発送日など、会社法に関連する業務の日程を定める際に、「初日不算入の原則」という言葉をお聞きになったことがあると思います。
この「初日不算入の原則」について、ご理解されていますか?
当記事では、初日不算入の原則について、株主総会招集通知の発送日を例にして、ご説明します。
目次
初日不算入の原則とは?(株主総会招集通知の発送日)
民法は会社法の一般法
民法は会社法の一般法(会社法は民法の特別法)です。
そのため、会社に関して、会社法に定めのない事項は、民法の定めが適用されます。
詳しくは、「会社法は民法の特別法!金商法の一般法は?」もご参照ください。
株主総会招集通知の発送日
会社法では、株主総会を招集するには、取締役は、原則として、株主総会の日の二週間前までに、株主に対して株主総会招集通知を発しなければならない、と定められています。
では、この「株主総会の日の二週間前まで」の計算方法は、会社法に定められているのでしょうか?
答えは、定められていません。
そのため、上記「民法は会社法の一般法」に記載した通り、民法の定めが適用されます。
初日不算入の原則
民法では、「日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。
ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。」と定められています。
例えば、会社法で、「○○の日から五日以内に~~」という定めがありますが、この場合、「○○の日」は算入せず、翌日から5日を数えることになります。
(「○○の日」が4/1であれば、翌日から5日を数え、最終日は4/6ということになります。)
この定めは、一定時点から将来に向かっての期間の計算を定めたものですが、一定時点から過去に遡っての期間の計算にも準用されます。
つまり、「株主総会の日の二週間前まで」というのは、株主総会の前日から2週間を数えることになります。
「株主総会の日」が6/29であれば、前日から2週間を数え、6/15までに(つまり、遅くとも6/14には、)発送しなければならない、ということになります。
なんとなく、「中14日あれば良いんでしょ?」と理解されている方も、その理由がご理解いただけたのではと思います。
法令の定め
最後に、参考までに、上記の内容に関する民法及び会社法の定めを引用します。
第百四十条 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
(株主総会の招集の通知)
第二百九十九条 株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の二週間(前条第一項第三号又は第四号に掲げる事項を定めたときを除き、公開会社でない株式会社にあっては、一週間(当該株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前までに、株主に対してその通知を発しなければならない。
補足(コーポレートガバナンス・コード)
コーポレートガバナンス・コードでは、株主総会招集通知について、法令より早期の発送が求められています。
早期発送を実施しない上場会社は、その理由を説明することが求められます。
まとめ
「初日不算入の原則」という言葉を頭の片隅に置いておくだけでも、リスク回避になると思います。