「企業の内部留保を吐き出させよ。」という言葉を聞いたことがあると思います。
内部留保は吐き出させることが出来るものだ、という理解は、会計的には誤解のように思います。
当記事では、その誤解について、なるべくわかりやすく書いてみました。
「内部留保を吐き出す。」の誤解について、一番わかりやすく書いてみた。
内部留保とは、一般的に利益剰余金のことを指します。
利益剰余金は、BS(バランスシート、貸借対照表)の右側(貸方)の項目です。
BSの右側は、お金をどのように集めたか、を表します。
(なお、BSの左側は、お金をどのように使ったか(あるいはお金のまま持っているか)、を表します。)
利益剰余金は、会社が儲かると増え、会社が損すると減ります。
利益剰余金は、儲けることでお金を集めることができたか(あるいはそうでないか)、を表します。
お金をどのように集めたかは、お金をどのように使ったか(あるいはお金のまま持っているか)と、無関係です。
借金をすることでお金を集め、工場の建設にお金を使うこともあります。
借金をすることでお金を集め、お金のまま持っていることもあります。
儲けることでお金を集め、工場の建設にお金を使うこともあります。
儲けることでお金を集め、お金のまま持っていることもあります。
儲けることでお金を集めても、お金をどのように使ったか(あるいはお金のまま持っているか)とは、無関係です。
儲けることでお金を集めても(=利益剰余金(=内部留保)を積み増しても)、吐き出せるお金があるとは限りません。
内部留保を積み増しても、吐き出せるお金があるとは限りません。
まとめ
「企業の内部留保を吐き出させよ。」という言葉が誤解だということに、ご理解いただけたでしょうか。