会社法監査、金商法監査(金融商品取引法監査)という言葉を聞いたことがあるけど、どういう意味なのだろう、どういう監査のことを指しているんだろう、と疑問に思ったことはありますか?
当記事では、会社法監査、金商法監査の定義や用法について、確認したいと思います。
会社法監査と金商法監査とは?
会社法監査と金商法監査の定義は?
結論から言うと、「会社法監査」及び「金商法監査(金融商品取引法監査)」という言葉は、会社法及び金融商品取引法等で定義された言葉ではありません。
通俗的に使用されている言葉であり、その使用事例について、以下にご説明します。
会社法監査と金商法監査を行うのは誰?
一般的に、会社法監査と金商法監査という言葉は、会社法と金融商品取引法(以下「金商法」といいます。)に基づき監査法人が行う監査の差異(または同一性。)を表現する際に使用されます。
そのため、一般的には、会社法監査と金商法監査を行うのは監査法人であり、例えば、会社法に基づく監査役監査を行う監査役等を想定して使用されることは目にしません。
例えば、株主総会招集通知に添付される事業報告の「会計監査人の報酬等の額」欄において、「会社法に基づく監査と金融商品取引法に基づく監査の監査報酬の額を区分しておらず、また、実質的にも区分できないため、当該金額にはこれらの合計額を記載しております。」 等という注釈が付されますが、まさに監査法人が行う監査の同一性を表現した事例です。
会社法及び金商法に基づき行われる監査の根拠については「監査報告書の種類は?全部でいくつある?決算短信には不要?」もご参照ください。
会社法監査と金商法監査という言葉を使い分ける理由
上記の通り、監査法人が行う監査を指しているのであれば、「会社法監査」、「金商法監査」と使い分ける理由がないように思われるかもしれません。
ただ、①そもそも別の法律に基づいて行われるものの、会計に関する監査という意味では同じであると、同一性を表現することが必要な場合があるため、②新規上場する会社等は、これまでの「会社法監査」に加え「金商法監査」が必要になる場合があるため、③内部統制監査の有無(金商法監査のみ行う。)を明確にするため、④会計に関する監査であっても、会社法及び関連法令と金商法及び関連法令の細かい差異を表現するため、等の理由で、会社法監査と金商法監査という言葉が使い分けられています。
まとめ
会社法監査と金商法監査という言葉は、定義はありませんが、一般的に、会社法と金融商品取引法に基づき監査法人が行う監査の差異(または同一性。)を表現する際に使用されます。
監査報告書の種類は?全部でいくつある?決算短信には不要?
監査役による計算書類や連結計算書類の監査は不要?
監査法人(会計監査人)による事業報告や有価証券報告書(非財務情報部分)の監査は不要?
上記の記事もぜひご参照ください。