捺印と押印の違いについて、お分かりになりますか?
また、署名捺印と記名押印の違いについて、お分かりになりますか?
当記事では、捺印と押印の違い、署名捺印と記名押印の違いについて、ご説明します。
上記記事もご参照ください。
捺印と押印の違い(署名捺印と記名押印の違い)
捺印と押印の違い
結論からいえば、捺印と押印に違いはありません。
どちらも、「印を押すこと」を意味しています。
あわせて、押捺といわれることもあります。
goo辞書(出典:デジタル大辞泉(小学館))によりますと、以下の通り、定義されています。
押印(おういん) の意味
おう‐いん〔アフ‐〕【押印】 の解説
[名](スル)印を押すこと。捺印 (なついん) 。「署名して押印する」
[補説]当用漢字の制定などにより、捺印に代わって用いられるようになった語。
捺印(なついん) の意味
なつ‐いん【×捺印】 の解説
[名](スル)印判をおすこと。また、おした印影。押印。「契約書に捺印する」
押捺(おうなつ) の意味
おう‐なつ〔アフ‐〕【押×捺】 の解説
[名](スル)判などを押すこと。捺印。押印。「受領書に押捺する」
署名捺印と記名押印の違い
まず、署名と記名の違いについて「署名と記名の違い(痒い所に手が届く)」をご参照ください。
次に、署名捺印と記名押印の違いについてですが、これは「署名に加えて印を押すこと」と「記名に加えて印を押すこと」の違いしかありません。
ここで、「「捺印と押印の違い」に記載されているように捺印と押印に違いはないのならば、署名押印や記名捺印でもいいのでは?」と思った方もいるかもしれません。
まさにその通りです。
署名と捺印がセットになっていること(記名と押印がセットになっていること)は、ただの慣習でしかありません。
法令でも、その組み合わせは統一されていません。
署名の組み合わせについては、署名捺印という用語を使用している法令が13件(当サイト「株式総務」は、株式に関する総務の業務(以下「株式総務」といいます。)を解説するウェブサイトですが、株式総務に関する法律を挙げれば、公証人法。)あります。
一方で、署名押印という用語を使用している法令が90件(株式総務に関する法律を挙げれば、金融商品取引法。)あります。
慣習的には、署名捺印という用語が使用されますが、法令では、署名押印という用例が多いのです。
(なお、公証人法施行規則では、署名押印となっており、関連法令間でも不統一です。)
また、記名の組み合わせについては、記名捺印という用語を使用している法令が13件(株式総務に関する法律を挙げれば、公証人法。)あります。
一方で、記名押印という用語を使用している法令が417件(株式総務に関する法律を挙げれば、会社法。)あります。
記名については、慣習と同じく、記名押印という用例が多いですね。
まとめ
捺印と押印は同じ意味(印を押すこと)です。
署名捺印と記名押印は、「署名に加えて印を押すこと」か「記名に加えて印を押すこと」の違いです。
署名押印・記名捺印も、間違いではありません。
上記記事もご参照ください。