定款や株主総会決議と聞いても、ピンとこないかもしれません。
ただ、あなたの日々の業務(そして、その決定。)に深く結びついているのです。
当記事では、定款の作成や、取締役の選任という株主の決定(株主総会の決議。)が、会社の組織の中で細分化されていき、最終的には、あなたの日々の業務に結びついている、ということを実感していただきたく、ご説明いたします。
定款は会社の憲法!
株式会社、社団法人、国家を比較してみると株式会社がもっとわかる。
定款については、上記の記事もご参照ください。
日々の業務(そして、その決定。)は、定款や株主総会決議と結びついている。
前提及び定義
取締役会設置会社及び取締役会規程を定めている会社を想定しています。
また、当記事では、会社ごとに異なる呼称を定めているであろう用語が頻発しますので、各用語について、以下の通り、定義します。
社内規程……会社に関する定めで成文化されたもの。定款を含みます。
(別の呼称:社則、社内規則、等。)
取締役会規程……取締役会の運営に関する社内規程。
(別の呼称:取締役会規則、等。)
決裁規程……決裁に関する基準を定めた社内規程。
(別の呼称:決裁権限規程、決裁基準規程、等。)
稟議書……決裁規程に基づき、決裁を願い出るために提出する書類。
(別の呼称:決裁書、起案書、等。)
業務分掌規程……社内の各組織が分掌する業務を定めた社内規程。
(別の呼称:業務規程、分掌規程、等。)
決裁に関する定め(社内規程)の決定
まず、決裁に関する定め(社内規程)が、どのように決定されるのか、ご説明します。
多くの会社が、次のように、決裁に関する定め(社内規程)を決定しているものと思います。
その決定は、会社法の定め(下部に引用します。)に従うものとなっています。
なお、決裁できる程度(例として金額など。)は決裁規程で決めるものの、決裁できる範囲(例としてある部門(例えば総務部。)に関する事項など。)は業務分掌規程で決めているという会社もあろうかと思います。
株主が、
会社法で認められた範囲内で、
定款を作成し(株主総会で決議し、)、
株主総会決議事項及び取締役会決議事項を決定する。
取締役会が、
会社法及び定款で認められた範囲内で、
取締役会規程を作成し(取締役会で決議し、)、
取締役会決議事項を決定する。
業務執行取締役(代表取締役を含む。)が、
会社法、定款及び取締役会規程に抵触しない範囲内で、
決裁規程を作成し(決裁し、)、
稟議書により決裁する事項を決定する。
(株主総会の権限)
第二百九十五条 株主総会は、この法律に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる。
2 前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。
3 この法律の規定により株主総会の決議を必要とする事項について、取締役、執行役、取締役会その他の株主総会以外の機関が決定することができることを内容とする定款の定めは、その効力を有しない。(取締役会の権限等)
第三百六十二条 取締役会は、すべての取締役で組織する。
2 取締役会は、次に掲げる職務を行う。
一 取締役会設置会社の業務執行の決定
二 取締役の職務の執行の監督
三 代表取締役の選定及び解職
3 取締役会は、取締役の中から代表取締役を選定しなければならない。
4 取締役会は、次に掲げる事項その他の重要な業務執行の決定を取締役に委任することができない。
一 重要な財産の処分及び譲受け
二 多額の借財
三 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任
四 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止
五 第六百七十六条第一号に掲げる事項その他の社債を引き受ける者の募集に関する重要な事項として法務省令で定める事項
六 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制その他株式会社の業務並びに当該株式会社及びその子会社から成る企業集団の業務の適正を確保するために必要なものとして法務省令で定める体制の整備
七 第四百二十六条第一項の規定による定款の定めに基づく第四百二十三条第一項の責任の免除
5 大会社である取締役会設置会社においては、取締役会は、前項第六号に掲げる事項を決定しなければならない。(取締役会設置会社の取締役の権限)
第三百六十三条 次に掲げる取締役は、取締役会設置会社の業務を執行する。
一 代表取締役
二 代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの
2 前項各号に掲げる取締役は、三箇月に一回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない。
日々の業務(そして、その決定。)
上記の通りに決定された、決裁に関する定め(社内規程)に従い、日々の業務(そして、その決定。)は以下の通り、実行されているものと思います。
定款の作成や、取締役の選任という株主の決定(株主総会の決議。)が、あなたの日々の業務に結びついている、ということを実感していただけるのではないでしょうか。
例えば、あなたが総務部員の場合、
株式分割をしようとしたら、
株式分割は、取締役会決議事項なので取締役会議案を作成し、決議を求めます。
例えば、あなたが総務部員の場合、
株式併合をしようとしたら、
株式併合は、株主総会決議事項なので株主総会議案を作成し、決議を求めます。
例えば、あなたが営業部員の場合、
顧客との販売契約を締結しようとしたら、
○円までの取り引きは営業課長の決裁なので稟議書を作成し、決裁を求めます。
○円までの取り引きは営業部長の決裁なので稟議書を作成し、決裁を求めます。
○円までの取り引きは営業担当の業務執行取締役の決裁なので稟議書を作成し、決裁を求めます。
○円までの取り引きは代表取締役社長の決裁なので稟議書を作成し、決裁を求めます。
例えば、あなたが財務部員の場合、
銀行からの借り入れを実行しようとしたら、
○円までの借り入れは財務課長の決裁なので稟議書を作成し、決裁を求めます。
○円までの借り入れは財務部長の決裁なので稟議書を作成し、決裁を求めます。
○円までの借り入れは財務担当の業務執行取締役の決裁なので稟議書を作成し、決裁を求めます。
○円までの借り入れは代表取締役社長の決裁なので稟議書を作成し、決裁を求めます。
○円以上の借り入れは多額の借財として取締役会決議事項なので取締役会議案を作成し、決議を求めます。
例えば、あなたが人事部員の場合、
人事異動を実行しようとしたら、
○○という役職までの人事異動は、人事課長の決裁なので稟議書を作成し、決裁を求めます。
○○という役職までの人事異動は、人事部長の決裁なので稟議書を作成し、決裁を求めます。
○○という役職までの人事異動は、人事担当の業務執行取締役の決裁なので稟議書を作成し、決裁を求めます。
○○という役職までの人事異動は、代表取締役社長の決裁なので稟議書を作成し、決裁を求めます。
○○という役職以上の人事異動は、支配人その他の重要な使用人の選任及び解任として取締役会決議事項なので取締役会議案を作成し、決議を求めます。
取締役の選任は、株主総会決議事項なので株主総会議案を作成し、決議を求めます。
例えば、あなたが総務部員の場合、
社内規程(定款を含む。)を変更しようとしたら、
影響が○○までの社内規程の変更は、総務課長の決裁なので稟議書を作成し、決裁を求めます。
影響が○○までの社内規程の変更は、総務部長の決裁なので稟議書を作成し、決裁を求めます。
影響が○○までの社内規程の変更は、総務担当の業務執行取締役の決裁なので稟議書を作成し、決裁を求めます。
影響が○○までの社内規程の変更は、代表取締役社長の決裁なので稟議書を作成し、決裁を求めます。
取締役会規程の変更は、取締役会決議事項なので取締役会議案を作成し、決議を求めます。
定款の変更は、株主総会決議事項なので株主総会議案を作成し、決議を求めます。
まとめ
株主総会の決議(定款の作成や、取締役の選任。)は、会社の組織の中で細分化されていき、最終的には、あなたの日々の業務に結びついている!
定款は会社の憲法!
株式会社、社団法人、国家を比較してみると株式会社がもっとわかる。
定款については、上記の記事もご参照ください。